文化祭当日

そうして迎えた文化祭当日

俺は教室でガチガチに緊張していた

それはもちろん、茜を誘うためだ

二人で文化祭デート…俺には憧れがある

だが一つだけ問題がある

「おい!あか…」

「プイっ!」

「あれ?聞こえてねぇか…

おーい!茜!」

「ススッと」

「あ、おい!」

そう、完全に無視されている

有愛と一緒だったら無視はされないのだが、それでも距離を感じる

俺、何かしたか?

まさか文化祭で展示をするだけでこんなに嫌われるとは…

覚悟はしていたけど悲しいもんは悲しいな

仕方がない

有愛の元に向かって頭を下げる

「茜を誘ってくれ!」

が高いわ」

「お願いします!」

俺は体を直角に曲げる

これでどうだ!

「まだ高いわね?」

「なッ⁉横暴な‼」

「私は別にいいのよ?

茜と二人で行くから」

「く…くそぉ!」

「そんなに嫌ならば諦めるのね」

悔しい!

だが…背に腹は代えられない

俺は伝家の宝刀、土下座を使う

周りのクラスメイト達もざわつき始める

その様子を見て、まずいと思ったのか有愛が慌て始める

「わかった…わかったから!」

「マジでサンキュー!」

お礼を言いながら有愛の手を思いっきり握りしめる

「ふ、ふん!精々感謝しなさい!」

有愛はそう言うと俺の手を振り払って教室を出て行く

…少ししか握れなかったが滅茶苦茶柔らかくていい手だったな

なんか俺、今キモかったな

とにかくこれで茜と文化祭デートできるはずだ

…有愛いるからデートではない?

まぁいいか

一緒に文化祭周れるなら何でもいい!

そして文化祭が終わったら…告白をする

それが今の俺の目標だ

目標が明確になってやる気が出てきた

頑張るぞ!俺!


文化祭

それは各クラスで出し物を出し合い、学校を盛り上げる行事

ここでカップルが出来ることだってあるとかないとか

勝負をかけるなら夏休み前の今

恋人と夏休みを過ごすという夢のために頑張るぞ!

水着回したいしね!


少ししてから有愛が茜を連れてきた

茜は俯いてしまっている

そんなに嫌なのか…

「アンタどんだけ鈍いのよ」

「人の心を読むなよ、有愛」

「アンタ、本当に分かりやすいのよ」

有愛がため息をつくと同時にピンポンパンポーンと放送が鳴る

『文化祭が間もなく始まります

体育館に集合してください』

「それじゃあ行くわよ」

有愛の言葉を合図に俺たちは体育館に歩き出す

「一回体育館に集まるのめんどくさいな」

「そんなこと言わないの

私だってめんどくさいと思ってるのよ」

「どう考えても体育館で校長が話すの意味わかんねぇだろ」

「アンタ分かってないわ

校長の話で一回盛り下げるのよ

そしたら後の文化祭がもっと楽しめるって訳」

「それホントか?」

「さぁ?」

「ガセかよ!勘弁してくれよ…」

そんな他愛もない話を有愛とする

茜に話しかけるのは少し気が引けた

まぁ嫌わっている相手から話しかけられても困るだけだろうしな

体育館に着くとほとんど全員がテキトーな場所に座っていた

だから俺たちも壁際に座る

…俺と茜の間に有愛を添えて

「日和ったわね」

「うるせぇ!」


無事に校長の話も終わり、俺たちは体育館を出て一言

「「校長の話、クッソつまんねぇ」」

「あ、あはは~二人とも言い過ぎだよ」

「茜は面白かったの?あれ」

「い、いやぁ」

「気にすんな

あんなのつまんねぇ話する方がわりぃよ」

茜が苦笑いをし、俺と有愛は愚痴を言う

教室に着くまでの間に有愛が、とあるところを指さす

「布がかぶさっている所、今外されそうね」

「お、マジじゃん」

丁度、生徒会の見覚えのある人達が布を外そうとしている

それに俺たちの絵の展示の場所は把握している

…なのだが、あんな場所に設置した覚えはない

ならば生徒会のサプライズだろう

俺たちにも教えてもらっていないから気になるな…

思わず見入ってしまう

そして生徒会が思いっきり布を外す

「おぉーすげぇ!」

それは龍だった

段ボールに絵の具をつけて出来た龍

小さな龍が木に巻き付いている

「凄いね」

「本当に

他の仕事もあっただろうにね」

茜と有愛は素直に感心し、俺は…

「スゲェ!スゲェよ!

えぐいえぐいって!」

「興奮しすぎじゃない?」

凄く興奮していた

いやいや!これは全男子興奮するって!

周りを見ると他の男子生徒も興奮している

あれが正常な反応なんだよ!

まぁ女子はまるで冷めた目で見ているが…

自粛しよ…

「ほ、ほら行こうぜ」

そして俺たちはこれ以降、教室に着くまで黙っていた


教室に着いた俺たちは財布を取って廊下に張り出された学校の地図を見る

「まずはどこに行こうかしら」

「近くから行くのはどうだ?

ここからだとお化け屋敷だな」

「いいわね

どうせ学校の外から人が来るようになったらお化け屋敷は混むわよ

確か一つしかないはずだし」

「じゃあ向かうか

茜もそれでいいか?」

そう聞くと茜は少しボーっとしていたのか少し遅れてから返事をする

「え?あ、うん」

なぜか上の空な茜がとぼとぼと先に向かう

それを見た俺と有愛が顔を見合わせて首をかしげる

「じゃ、俺たちも行こうぜ」

「そうね」


「お化け屋敷なんて全然怖く…ギャッ!」

「俺に抱きつくな!茜に抱きつけ!」

「えー?私?」

「俺に抱きつかれても困んだよ!」


「このチュロスうめぇな」

「まぁそうね」

「有愛、渋々認めてる感じだけど三本目だよ?」

「う、うるさいわね!」


「的当てゲーム?簡単ねっと!」

「…有愛、言いずれぇんだが一個も当たってねぇ」

「う、うるさいわね!」

「さっきも聞いたね、その言葉」

「そんな言うなら茜と昭良はどうなのよ!」

「ほいほい」

「昭良⁉」

「えいっと」

「茜⁉どっちも一発⁉

…そう言えば二人とも運動神経バケモノだったわ」


遊んで遊んで遊びつくして…気づけば夕方になった

教室に戻ってきた俺たちは文化祭について話していた

いつの間にか茜との謎の距離感も無くなっていた

なんなら前よりも親密になれている

三人とは言え、文化祭デートを楽しめた

よし、これはイケる

俺は今日、告白する!


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

作者から

次回、最終回!

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