第十一話 体育祭編ラスト

昼ご飯も食べ終わっていよいよ体育祭もラストが近づいてきた

次は学年対抗リレー

そしてその後に学級対抗借り物競争

掲示板に出場選手が張り出される


覚えていない人のためにもう一度詳しく説明する

借り物競争の選手は決まっていない

生徒会がくじで決めることになっている

完全ランダム競技になっている所が面白い競技だ


「よ、アカネ

選手誰だった?」

いつの間にか近づいて来ていた『player』に声をかけられる

「んーまだ私も見れてない」

「そうか」

気まずい沈黙が流れる

周りが楽しい声で満ちているから余計に酷い

まさか有愛うめのお母さんが先生だったなんて

まぁ病院の名前を見れはすぐ気づけただろうけど

興味関心が一切なかった私が悪い

いつまでも隠せるとは思っていなかったけど、よりにもよって今日かー

恋愛イベントにだって起こりそうなのに

『player』が気を使ってしまいそう

だから先に手を打っておく

「私はアキラに救われたから、もう大丈夫」

「…そうか」

「だから次は私がアキラを助ける番

好きな女の子が出来たら教えてね!」

それが私にできる精一杯

私如きにできる精一杯だから


「そうか、じゃあ言うぜ」

「…え?」


あまりに驚いて『player』の顔を見上げる

『player』が意を決した顔をしている

それでいて照れくさいような、そんな顔

…そっか

『player』にもそんな顔ができる相手ができたんだ

胸がチクリと痛む

その痛みには覚えがあった

でも無視して言葉を続ける


「それは誰なの?」

「アカネ」

「…」

『アカネ』『アカネ』『アカネ』『アカネ』『アカネ』『アカネ』『アカネ』『アカネ』『アカネ』『アカネ』『アカネ』『アカネ』『アカネ愛してる』『アカネ』『アカネ』『アカネ』『アカネ』『アカネ』『アカネ』『アカネ『アカネ『アカネ『アカネ『アカネ』『アカネ』『アカネ』『アカネ』『アカネ』『アカネ』『アカネ生きて』―ブツッ

そんな音とともに意識が途切れそうになる

だけど…システムなんかに邪魔されない

舌をかみ切る勢いで噛む

痛みで意識を取り戻す

やっぱり『player』は私を諦めていない

ならば私も言わなければいけない

私の思いを


「私は…好きな人がいるの

だからその思いには応えられない」

「…そうか

そうかぁ

覚悟はしてたけど辛いな」

「まだ、マシなんじゃない?

その人が死ぬよりは」

「…アカネ」

『player』の顔を見る

多分今の私は酷い顔をしている

だけどしっかりと見てほしいんだ

それが罰だから

「だからアキラのことは支える!

友達としてだけど!」

「そっか

ありがとな」

「それより!次は学年対抗リレーだよ!」

なんといっても私と『player』は選手だったりする

クラスで男子一番と女子一番だからね

「絶対勝つぞ!おー!」

「おー

それはそうと借り物競争の選手だな」

「あーすっかり忘れてた!

さてさてどれどれ」

人ごみで掲示板見えないなー

「…マジか」

身長が高い『player』は見えたようだった

「どうだった」

摸武もぶ篠原しのはらさんだ」

「へー」

まさか数少ない『player』の知り合い?友達?が選ばれるなんて

ま、私は関係ないイベントになりそうだし次のリレーに全力を出そう


~now Loading~


学年対抗リレー

他の学校では色別対抗リレーなんて呼ばれている

そこのアンカーを任されていると『player』と、その前を走る私

責任重大だ

「ま、私たちに勝てる相手なんていないけどね」

「だけど二組の奴らは警戒した方がいいぜ」

二組のメンバーは陸上部ばかりだ

…いや陸上部しかいない

「酷いね!」

「まぁ俺らより遅いけどな」

「酷いね!…その通りだけど!」

私達は怪しく笑う

陸上部?関係ないね

私達が相手してあげるよ

「アカネっち…顔怖いよ」

「あ!成実なるみ

私達のこと応援してね!」

「それはモチモチ

…じゃーちゃんと何かあった?

ご飯の後から仲悪そうだけど」

「やっぱり分かる?」

「んまぁ

じゃーちゃん、アカネにスリスリしてこないし」

「スリスリって

動物かな?」

「そんなものっしょ」

「確かに!」

まあ今は気まずいんだけど

応援してくれたら嬉しいな

「アカネ

そろそろ時間だ

行くぞ」

「オッケー!アキラ!行ってきます!」

「頑張ってねー」

私達はタスキを胸にかけ、いざ戦場へ!


~now Loading~


一年生と三年生で差を付けられた

とは言っても二位をキープしてはいる

やっぱり二組の陸上部軍団強すぎるね!

三年生男子に関しては大会で準優勝した選手まで参加してくる始末

逆によく半周差以上付けられなかったね

とても偉いと思うよ!

男子の先輩に渡される時に言われた一言

「ゴメン!後は頼んだ!」

「わかった!」

そうしてバトンを受け取り、走り出す

前との差はそんなにない

だけど相手も速くてなかなか追いつけないだろう

「私以外ならね!」

アカネの走りを見て、皆思い出した

200メートル走でぶっちぎりの一位を取ったアカネを

一番速いレーンで

「うおおおおおおおおおおおおおおお!」

「ちょっ!嘘!」

あまりにも早く近づいてくる声に驚く二組の子

だけど相手の子も速い!

少しずつ差は縮まるけどバトンを渡すまでには追い付けない!

だから!私も託す!

「アキラッ!頼んだよ!」

「任せろや!」

バトンをしっかりと渡す

そうして『player』は走り出す

短距離走で一回走った陸上部の人が相手だった

そこでは勝っていた

今回もきっと勝ってくれる

そう信じつつも、どこか不安感が残る

「転んだりしないよね…?」

そして最悪は訪れる

ゴールテープまであと数歩

『player』が追い越すかどうかの時

「あっ!」

『player』が足を綻ばせる

転ぶ

転んで負ける

誰もがそう思った

…『player』以外は

「おりゃぁぁあぁっぁぁああ!」

「⁉四足歩行!」

いつもならふざけてるのかと突っ込んでいた

手の力だけでは滑るだけだから

だけどリレーの時だけ持っているものがある

バトンだ

バトンをまるで杖のように使って前に進む

その時のスピードは走るよりも速かった

あとはゴールテープまで届くのかどうか

結果は…

『一組の勝利だぁぁ!』

「アキラ!」

私は真っ先に派手に倒れた『player』の元に向かう

「やったぜ…」

そう呟く『player』の額にはゴールテープがついていた

「ちょっと、アキラ何その格好!」

「笑うなよ!俺だってクソ痛いんだからな!」

こうして私たちのリレーは終わった


~now Loading~


私達は今校舎の中で待機している

「まさか一番足の速い私たちを警戒して屋上に配置させるなんて!」

「全く酷いものだ」

今から始まる借り物競争は選手以外の待機場所も決まっている

その結果、屋上にいる

二人きりで

『さあ!目玉イベントの借り物競争が始まります!』

開始の合図が出る

「ねぇアキラ!」

「なんだ」

「今なら何でも聞いていいよ!

今ここには誰もいないから!」

「…そうか」

『player』が私のことを諦めくれるなら何でも答えてあげる

「アカネは何で鬱になったんだ」

「いきなりだねー!

…いいよ

答えてあげる

私に好きな人が居るって話をしたよね」

「…あぁ」

「私がその人の全てを壊した…からかな」

「どういう意味…」

そこまで言いかけてスマホが鳴る

「アカネ…俺たちの番らしい」

「オッケー!」

「続きをいつか聞かせろよ」

「…それはもちろん!

それじゃあ行こうか!」

「あぁ」


~now Loading~


急いで階段を降り、校庭に出る

するとそこにはモブ君と篠原さんがいた

「来て下さりありがとうございます

僕らが走って向かうより来てもらった方が速いと思いました

お手数かけてすみません」

「全然大丈夫だよ!」

「じゃ、俺は摸武とゴールするから」

「…え?」

篠原さんが私を選んだの?

私のこと嫌いなはず

「お題は何なの?」

「えっと…す、すみません

お伝え出来ないです」

「そっか!

じゃあ早くゴールしないとね!」

「は、はい」

気になるけどサプライズしてくれるというなら乗ってあげよう

そのまま二人でゴールする

迷いもなく私たちのことを選んでくれたからとても早かった

これでお題があっていたら一番も夢じゃない

『ではまずはモブさんのお題から!

お題は…憧れの人!

ではモブさんにインタビューしましょう

なぜこの人が憧れの人なんですか?』

『えっと…

僕はカッコいい人に憧れているんです

そしてアキラ君は僕の理想の人物なんです

身長も大きくて顔もカッコよくて…

何より!筋肉が凄くよくて!』

その後も『player』の良さを語り続けるモブ

私としてはとてもありがたいけど

『player』は恥ずかしがっているし司会の人ももう苦笑いしかしていない

空気としては最悪寄りだ!

司会者の人は相手するのも面倒になったのか無視して私たちの元に向かう

それでいいのか

『それでは篠原さんのお題は…

心の底から謝りたい人!

これは…あまり深く聞かない方がいいですね!

ですが証明はしてもらわないと…』

同じクラスということで怪しまれているようだ

なら最初からそんなお題入れるなって感じ

だけど私にも心当たりがないからズルしてる可能性も…ないと信じたいけどね

そんな私達を見かねた『player』が司会者の肩を叩く

「俺が一応証拠は持っている

これでどうだ」

そう言いながらスマホの画面を見せる

すると確認が取れたのか

『…なるほど

私が認めましょう

それでは次の人行きましょう!』

一体何を見せたんだろう?


~now Loading~


体育祭は無事私たち一組の勝利で終わった

運動系の多い二組は悔しそうにしてたなー

閉会式も終わってあとは片付けだけ

「アカネ

少しいいか?」

閉会式が終わってすぐに『player』に声をかけられる

その後ろには篠原さんがいる

「篠原の話を聞いてやってくれないか?」

「それはもちろん!

ここで話せる?」

「で、できれば違うところが、いいです」

うーん

どこかいい場所はあるかな

人に聞かれたくないことだろうし…

「屋上はどうかな?」

「では、そこがいいです」

まだ私のことを怖がっているらしい

…いや違うかな

怒られることを怖がる子供みたい

謝りたいことがあるって言ってたし

「じゃあ屋上に行こう…か」

そこまで言ってが近づいてくるのが目に入る

見間違いかとも思ったが少し老けたように見えるだけでやはりその人だった

…どうしてここにいるの?

そう放心していると篠原さんも私の視線を追って、その人に気づく

秋徒あきと先輩のお父さ…」

?」

私がそう呟くと篠原さんは言いかけていた言葉を止めて驚愕の表情で私を見つめる

だけど私には篠原さんに気を配る余裕はなかった

「久しぶり

アカネちゃん」

「お久しぶりです

お仕事でまだ帰らないかと思いました」

「それなんだけどね」

そこでお父様は躊躇う

何か言いづらいことなのだろうか

私は何かやってしまったの…

「家内が死んだ

アカネちゃんには娘として…」

―お母様が死んだ…?

何かお父様が話しているけど聞こえない

鼓動が速くなる

呼吸が荒くなる

視界がくらむ

「ああ、ぁあぁあああ!

!また私のせいで死んだ!

いやだいやだ

ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいまた奪ってごめんなさい」

「違うんだ!アカネちゃんのせいでは」

ごめんなさい

あっくん

―ブツッ


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


作者から

体育祭編お疲れ様でした

次回から蛇足編が始まります


舞台は三年前

とある少女の愛の物語です

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