第2章 リーフレットの街へ
第3話「ミリアの人生 1」
ミリアが父上たちに話して、第八皇女の権利を剥奪してから次の日。
翌朝、私は今日から一般人として暮らすことになる。
ミリアは、いつもの朝を迎え、事前に用意していたカバンに必要な荷物を詰め込むと、使用人やお姉さま方、兄上たちに別れの挨拶をした。
「皆さん、今まで本当にお世話になりました。」
「ミリア様…お気をつけて。」
使用人たちの涙を見て、ミリアは胸が少し締め付けられるような思いを感じた。
それでも、これからの人生に向けて強い意志を持つ彼女は、笑顔で見送られる中、迎えに来ていた馬車に乗り込む。
馬車に乗る直前、父上が近づいてきて、一通の手紙を手渡した。
「ミリア、この手紙をお前に渡す。」
「これはいったい何の手紙ですか?」
「それは、馬車に乗った後で読んでほしい。」
そう言われたミリアは深々と頭を下げ、馬車に乗り込んだ。
そして、馬車が動き出すと、ミリアは父上から手渡された手紙を丁寧に開いた。
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父上からの手紙
この手紙を見ている頃には、お前はもう「第八皇女」ではなく、ただの一般人だ。 だが、ミリア、いずれお前はリーフレット王国を助けるような立派な人物になって戻ってくるだろうと信じている。
父上としては、本当は幼い娘をこうして送り出すのは心苦しい。 「第八皇女」としての地位を深めてからでも遅くないという思いもあった。 だが、今の決断はお前自身の強い意志によるものだ。それならば、父としてお前の道を支えたいと思う。
これからお前は、ある商人の娘として暮らしてほしい。その商人の代表にはこちらからすでに了承を得ている。馬車が向かう先は、「サクヤ商店」という王国でも超一流の商店だ。そこの代表主人は、父上の昔の幼馴染だ。信頼できる人物だと保証する。
ミリア、これからはそこで多くのことを学び、経験を積むと良い。そして、いつの日か王国に帰り、みんなを助ける力を持つお前を父上は楽しみにしている。
どうか健康に、幸せに生きてほしい。
――父上より
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ミリアは手紙を読み終え、手の中で丁寧に折りたたむと、深呼吸をした。
「父上…ありがとうございます。私は、必ず強くなって戻ってきます。」
ミリアの目には決意の光が宿っていた。
馬車がゆっくりとリーフレット城を離れ、見慣れた風景が遠ざかっていく。心の中に寂しさが広がる一方で、新しい人生への期待感も膨らんでいく。
やがて、馬車は「サクヤ商店」の近くに到着した。
そこには、大きな建物が立ち並び、多くの人々が忙しそうに行き交っている。サクヤ商店は、威厳ある看板が掲げられ、商人たちの活気に満ち溢れていた。
「ここが、これからの私の新しい生活の場…。ミリア・リーフレットから、ミリア・サクヤとして生きていく場所。」
ミリアはカバンをしっかり握りしめ、馬車から降り立った。
新たな生活の第一歩が、今始まる。
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