第1話「第八皇女誕生!」
あれから10年、第八皇女「ミリア・リーフレット」は順調に成長し、リーフレット王国の皇女としての礼儀マナーや勉強をこなしながら日々を過ごしていた。
「あぁ~、毎日毎日、勉強や礼儀マナーばかり。退屈だな……。」
ミリアはため息をつきながら、机に広げた教本をぱたりと閉じた。
王女として必要な知識や作法は、幼い頃からみっちりと叩き込まれてきた。正しい姿勢、歩き方、言葉遣い――どれも大切だというのはわかっている。でも、ふとした瞬間に思う。
本当に、これでいいの?
そんなとき、第七皇女のフローラがやってきた。
「ミリアちゃん、いるかしら?」
「いるわよ!」
ミリアは勢いよく返事をし、ドアを開けるとフローラ姉が部屋に入ってきた。フローラは学園に通う忙しい身でありながら、こうしてたまに顔を出してくれる。
「フローラ姉、いったい何かしら?」
「実はね……最近、父上と母上、それに兄たちが少し頭を抱えているみたいなの。ミリアちゃん、何か知ってる?」
フローラの言葉にミリアは少し考えた。確かに、ここ最近父や母の表情がどこか暗いことには気づいていた。でも、まだ詳しいことは何も知らない。
「ん~、分からないけど……。私が父上たちに聞いてみるから、フローラ姉は学園での勉強を頑張ってね。」
ミリアは優しく微笑みながら言った。その言葉にフローラも少し安心したようだった。
そして2日後。突然、食事をする広間に家族全員が集まった。第一皇女と第二皇女は他国に嫁いでいたため不在だったが、それ以外の王子や皇女たちが全員揃っていた。
レイヴァン国王が厳かな表情で話し始めた。
「みんなに集まってもらったのは……他でもない。実は、これから話すことはもうすでに知っている者もいる。」
その言葉に、広間は緊張感に包まれた。
「このリーフレット王国は、かつて我々の祖先が開拓し、長きにわたり繁栄してきた。しかし……現在、この王国は深刻な資金難に直面している。」
「資金難?」
ミリアを含む子どもたちは思わず声を上げた。王国が抱える問題がこれほど深刻だとは、誰も予想していなかった。
「資金難といっても、今はなんとかやりくりして経済や街の維持を保っている。だが、いずれ国王を次の代に渡した際、どのような状況になるかはわからない。これからはお前たち一人ひとりの力が必要だ。」
レイヴァン国王は真剣な眼差しで語り、子どもたちはそれぞれ考え込む様子を見せた。
その場でミリアは父に向かって手を挙げた。
「父上。お願いがあります。」
レイヴァンは驚いたようにミリアを見た。
「なんだ、ミリア?」
「まだ私がこの先どうするかは未定ですが、この王国にある書庫の本を調べたいのです。もしかしたら、王国の未来に役立つ知識や糸口が見つかるかもしれません。」
レイヴァンは一瞬考えた後、頷いた。
「いいだろう。だが、あの書庫には祖先たちが集めた本が無数にある。その中には禁じられた本も含まれている。それらを読むときは必ず父または母に相談するのだ。」
「分かりました。」
ミリアは父の承諾を得て、翌日から王国の書庫で調査を始める決意をした。
彼女の心には、小さな使命感が芽生え始めていた――
ただの退屈な日々を変え、王国の未来を救うために。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます