さしさしきしと抱く(梁塵秘抄)

恋ひ恋ひて たまさかに逢ひて寝たる夜の夢は いかが見る さしさしきしと抱くとこそ見れ

      (『梁塵秘抄』巻第二 460番歌)


 今回は、平安時代後期に流行した歌謡(今様いまよう)について見ていこう。冒頭に掲げた歌は、後白河院が編んだ『梁塵秘抄りょうじんひしょう』に収められている今様だ。

 現代語訳を以下に示す。

「恋しくて恋しくて、久しぶりにやっと逢って共寝をした夜の夢はどんなだろう。「さしさしきし」と抱きしめると見るだろうよ。」


 なるほど、久しぶりの逢瀬の歌だ。かなりエモい。でも、「さしさしきし」って何の音?共寝のとき、「さしさしきし」って音するかな?ちょっと解説書を読んでいこう。

「恋の激情に身をまかせた一夜を歌う官能的な一首。」うん、まあそうだよね。で?何の音なんだ?

「(中略)本今様は、ねやの愛撫の悦楽を、擬声語を効果的に用いて濃密に表現している。」以上。

 え?これ以上書けないってことは?「さしさしきし」って擬声語は?もしかして?


 ええーーーーーーーーーーー!?



※本文・現代語訳・解説は植木朝子氏編『梁塵秘抄』(角川ソフィア文庫、2009年)より引用した。

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