元たま滝本晃司さんの歌詞①(ふたつの天気)

 元たまの滝本晃司さん(通称Gさん)の歌詞が好きだ。いつかライブに行けたら、作詞の方法を尋ねてみたいと思っている。


 ということで、この回では、Gさんの「ふたつの天気」の歌詞を紹介したい。冒頭は次のようにはじまる。


  ぼんやりと縁側でながめてたら

  洗濯物は もうすぐ乾くために

  ゆれつづけ ゆれる度にそのうしろの

  まっ青な空 見せたり隠したり


 この擬人法、すごくないですか!?

 まず洗濯物を題材に24小節分も書けるのがすごいのだが、最初の胸キュンポイントは「もうすぐ乾くために」だ。まるで洗濯物自体に意志があるかのようで微笑ましい。

 そして「まっ青な空 見せたり隠したり」の部分では、前景の洗濯物の「動」と後景の青空の「静」が対照的で、かつ洗濯物の揺れの中で青空の残影がいつまでもとどまるようである。

 この部分は、縁側で眺めている主体の、やや空想癖がありそうな頭の中をのぞき込むようでもある。

 続きは以下の通りだ。


  遅く起きた朝はこんなふう

  動いているのか

  止まってしまっているのか

  わからずじまい

  きみは何処へでかけたの


  からっぽの部屋

  からっぽの朝

  はがれた時刻


「はがれた時刻」という表現に感服する。冒頭のほのぼのとした雰囲気が、ここで崩される。「はがれた時刻」が何なのか論理的には説明できないが、感覚的には、何か主体の落胆や欠落した感じを思わせるような、そんな表現だと思う。

 最後のフレーズだ。


  ぼくはここできみはどこかで

  ふたつの天気


「ぼく」と「きみ」の間に距離があることが改めて示される。が、それを「同じ空の下」などと言わずに、「ふたつの天気」とセパレートしているところが良い。ちょっぴり切ない終わり方だ。


 以上は私の解釈なので、他にもいくつもの捉え方があると思う。皆さんはどうお感じになりましたか?


 私はGさんの曲に触れるたびに、こんな詩が書けたら、と憧れずにはいられないのである。このテーマで、今後もいくつか連載していきたいと思う。

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