第10話 奇術師と魔術師
プレイヤーならだれでも覚えるスキルで大道芸を始めたプレイヤーはピピロロというらしい。
現在は何度も〔
最初は数人しかいなかった観客も気づけば数十人の規模になっていた。
「ほっほっよっ!〔
「いいぞー!」『やれやれー!』「ひゅーひゅー!」
などなどの歓声も飛び交っており、まさに大盛況といった感じ。
結構やり慣れてる感じするから何度も他のところでやってるか相当練習してるのだろう。
ただ一つ気になるのはスキルのクールタイムだ。〔
けど〔
「あの~すみません~」
気になったので近くにいたプレイヤーに声をかける。
その人は白色のローブに白いワンピースを着ておりすこし大き目の帽子をかぶっている女性だった。
「ん?どした?」
「いや、あのピピロロって人がクールタイムを無視してスキルを使用してるような気がして...」
「あんた知らんのか?あいつの職業は
「へぇー。そのスキルの詳しい効果って教えてもらえます?」
「ええで。〔大道芸の心得〕には最大で3つまでスキルを設定できてな。街中で、なおかつ非戦闘状態でのみ効果が発動してクールタイムをスキルレベル分マイナスするんや」
「ほうほう。たしか両方ともクールタイムは20秒とかでしたっけ?」
「せやな。そっちのレベル上げて最短で15秒、〔大道芸の心得〕の効果で2秒までクールタイムを縮めておるんや」
「勉強になるなぁ~。ただ
「立派な術士系の職業や。まぁ本領を発揮するのにちと準備は必要やがな...それより、そろそろフィナーレや。ようみとき」
「そうなんですか。そうしときます」
言われた通りどうやら芸も終わりに近いようだ。
ピピロロが何かを取り出す動作をして、取り出すのは2本の筒。
その筒には導火線のようなものが付いていた...ってかあれまんま導火線じゃね?
「さあさあお立合い!フィナーレを飾るはこのたった2本の筒!これに火をつけると...皆様!上をご覧くださぁい!」
言われた通り上を見上げるとピピロロが両手に筒を持って飛び上がっていた。
よく見ると火はすでに筒に届きそうだった。
「奇術師危機一髪!稀代の奇術師は無残に散るか!それとも華麗な花火を見せるか!その軌跡を!奇跡をご覧あれ!〔
ピピロロはさらに4本の筒を取り出し着火し...盛大に爆発した。
爆風は広場を包み込み...空には昼であってもなお綺麗に輝く炎の花が咲いた。
「無事!花火が咲き誇り私もこうして無傷!観客の皆様を心配させるようでは二流!一流は心配させずにピンチを演出するのです!ここまでご覧いただきありがとうございました!これにてピピロロの大道芸終了させていただきます!」
いつの間にか噴水の縁に立っていたピピロロがそう宣言し、煙とともに消えた。
「ふぃー、イヤー楽しかった楽しかった!」
消えたと思っていたピピロロはさっき話しかけた人の横に居た。
「おう、おつかれさん。これでようやっと準備できたな」
「yes!これで狩りに行けるぜ!ところでそっちの人はどちら様?ナンパでもされ
た?」
初対面なのにナンパ扱いかい。
にしても知り合いなのかな?この二人。
「んなわけあるか。あんたの大道芸について気になることがあるっちゅうて聞いてきたんや」
「ほうほう!それはつまり
「いえないです。ただクールタイムを無視していたように見えたので」
「がくっ!あーまぁ確かに何も知らない人からしたらそうだよねぇ~。じゃ、ついでに解説を」
「それもうしといたで」
「またまたがくっ!も~なんで先に説明しちゃうかなぁ~」
「うちが聞かれたんだからに決まっとるやろう。ほな何かの縁やし、自己紹介でもしよか」
なかなか愉快な人たちだな。
まぁピピロロさんがボケてこの女性がツッコミで会話が成立してるんだろう。
それより初対面の人と自己紹介か。
「いいんですか?」
「ええで。うちの名前はフィーフィーや。職業はメインが
「終わるときにも言ったけどピピロロだよ~。メイン職業は
フィーフィーさんにピピロロさん...フィーフィーさんはさん付けしたいけどピピロロさんの方はさん付けしたくないな。ピピロロでいいか。
「俺の名前はウェイン・バーダスです。本当に最近初めてさっきギルド登録してきたんです」
「わぁ!初心者さんだったんだ!このゲームって色々理不尽だから新規って珍し部類なんだよ!」
「まぁ理不尽なのはわかりましたけど...それでも新規プレイヤーはそこそこいそうですけど違うんですか?」
「まぁたいていは口コミ見てやめとこってなるからな。それこそ物好きくらいやろうなぁ。このゲーム始めるのは」
「おいおい、せっかくの新規なのに物好きっていうのはかわいそうじゃないかい!?」
「ははは...まぁ、物好きなのは自覚してるので」
「それで?ギルドに登録したっちゅうことは依頼でもうけたんです?」
「いえ、フレンドからお使い頼まれてるので依頼は受けずに出てきました」
「ほうほう!もうフレンドがいると!よきかなよきかな!このゲームはソロよりマルチのほうがわちゃわちゃできて面白いと思うぜ!」
「尻ぬぐいする側の気持ちにもなってほしいわぁ。それよりお使いってどこにいくんです?」
「あとは術士ギルドと商業ギルドと...あっ!結局渡すの忘れてた」
「あらあらうっかりさんやなぁ。ほな、冒険者ギルドに渡し終わったら一緒に術士ギルドにいきませんか?」
「え?フィフィちゃんが逆ナン?意外~」
「どつきまわすで」
「さーせんした」
「よろしい」
やっぱりボケとツッコミだな。コンビでも組んでるんだろうか。
まぁコンビってかパーティーだろうけど。
「じゃあお願いしてもいいですか?俺はすぐ冒険者ギルドの受付に渡してくるので」
「ええで。行っておいき」
「噴水周りのベンチにいるからね~」
「わかりました。では行ってきます」
とりあえず急いで冒険者ギルドに入って登録させてもらった受付の人のところに向かう。
「あの、すみません。風月という方から預かりものがあるのですが」
『風月様からですか?確認してきますので少々お待ちください』
実物を出しながら受付の人に言うと受付の人は立ち上がって上の階に上がっていった。
なんかお偉いさんに渡す物なのかなーこれ。待ってる人いるからできるだけ早く終わらせたいんだけど。
数分待っていると受付の人がおりてきた。
『お待たせしました。確認が取れましたのでこちらでお預かりしてもよろしいでしょうか?』
「多分大丈夫だと思います。どうぞ」
まぁ多分大丈夫でしょう。
取り出しておいた冒険者ギルドと書いてある瓶を受付の人に渡す。
『受け取りを確認しました。おつかれさまでした』
「いえいえ。では失礼します」
礼をして冒険者ギルドを後にする。
出てすぐ近くのベンチに座って談笑しているようだ。
「すみません、おまたせしました」
「全然待ってへんよ。こいつを待ってる時間の方が長いわ」
「悪かったね~準備に時間がかかる職業で。俺はこれがやりたくてこの職業を選んだんだ。俺と組んだ自分の運を嘆くんだな」
「まぁ別に暇つぶしにもなるし、ええんやけど」
「じゃあいちいち言うんじゃねぇよ!」
「嫌味もわからんのか?」
「嫌味じゃねぇか!」
「あの、漫才はそのくらいにしてもらっても大丈夫ですか?」
「漫才じゃあらへんのやけど...まぁええわ」
「さて、それじゃあ術士ギルドに案内するわ!パーティー申請も送っとくよ~」
そういってピピロロがメニューを操作するとパーティー申請が来ていると通知が来た。
とりあえず承認すると左上に表示している自分のHPバーとMPバーの下に二つのHPバーとMPバーが追加された。
細かいことだけど冒険者ギルドに登録した時からMPもバーで表示されるようになった。多分数値化されたことによる影響かな?知らんけど。
「あ、そや。あんたの...ウェインの職業を聞くん忘れてたわ」
「あ、そういやそうだね。ウェイン君はなんの職業に就いてるんだい?」
そういえば俺だけ言ってなかったな。
まぁ別に知られても問題ない職業だし、今はパーティーだから伝えた方がいいか。
「俺が就いてるのは
「
「そうなぁ...ちなみに武器は?」
「粗悪な
「ああ...ご愁傷様やな」
ランダム・ダンジョンズ @Lacto13
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