第3話 止まらない理不尽

 はぁ...いつまでも落ち込んでいてはどうしようもない。

ここは今使えるスキルとかの確認をしよう。


 まず現在取得しているスキルは全部で3つ。〔契約コントラクト〕、〔カード化〕、〔召喚サモン〕。

 そのうち、現在使用できるのは〔召喚サモン〕のみ。そしてこのスキルで使う俺の唯一の魔物モンスターは...


====================

緑小鬼グリーンゴブリンのカード 戦闘回数:0


 小鬼ゴブリン族の一番一般的に知られている小鬼ゴブリン

ほかの小鬼ゴブリンよりステータスの面では劣るが、スキルの多様さと成長のしやすさでは断トツの性能を誇る。

====================


 こんな感じの説明が書いてあるけど...肝心のステータスが書いてなくてどういう風に対策を汲めばいいのかわからん。

 それに...この【獄牢】の平均レベルが35。

控え目に言って無理ゲーというかクソゲーでは?


「はぁ...どうすっかなぁ」

『まぁ、ゆっくり考えな。どうせ刑の執行にはまだ時間がある。それまでに脱獄でればいいんだ』

「まぁあんたはそうだろうけどさぁ。こっちはレベル1、使えるのは緑小鬼グリーンゴブリン1体のみ。さすがに絶望的じゃない?」

『あーまぁそうかもなぁ...と言われても、俺じゃどうすることもできないしなぁ』


 んー...本当にどうしようか。

緑小鬼グリーンゴブリンは、成長しやすいって書いてあったし...こいつに頼んで何回か戦闘すれば進化するんじゃないか?


「なぁなぁ。一つ考えがあってさぁ」

『なんだ?』

緑小鬼グリーンゴブリンの説明見た感じ、小鬼ゴブリン族の中では一番成長しやすいらしいんだよ」

『ほう。つまり、成長するまで俺と戦わせてほしいと』

「そうそう。できればお願いできない?」

『んー...まぁ...んー...』


 これは...だめか?だめならレベル1でレベル35に挑まなきゃいけないけど...


『まぁ、いいだろう』

「え?いいの!?」

『お前が提案したことだろうに、なんでお前が驚いてるんだよ』

「いやだって、普通こんなこと承諾するとは思わなくない?」

『まぁそりゃそうだが...ま、一つ貸しだな』

「あーまぁそりゃ無料なわけないか」

『当たり前だろ?さすがに俺だって無料でやってやるほどお人よしじゃない』

「まあそっか。おっけ!それでいこう!」

『じゃ、さっさと出してくれ。そんで俺を殴らせて、俺が降参すればそれで戦闘は終了するはずだ』

「おっけー」


 なんとか了承してくれたので、さっそく初めての戦闘を行う!

初めての戦闘がこんなんでいいんだろうか...まぁこうでもしないと無理ゲーだし...いいよね。


「〔召喚サモン緑小鬼グリーンゴブリン


 俺が空いている床を見つめながらそう唱えると、俺の中からが抜けていった。

その後、俺が見つめている床に六芒星の魔法陣があらわれ、そこに人間ならば10、1歳くらいの身長の緑色の魔物モンスターがあらわれた。


「こいつが...緑小鬼グリーンゴブリン...」

『そう。一番メジャーな小鬼ゴブリンだ。そして、一番狩りやすく一番危険な小鬼ゴブリンでもある』

「成長、進化がしやすいから...か」

『そうだ。まぁ、小鬼ゴブリン族に共通して厄介なのが数だ』

「あーたしかに、1体だけだとあまり強くなさそうだけど...こんなのがたくさんいたら恐怖だな...」

『そういうことだ...さて、やるならさっさと始めよう。俺もあんまり痛い思いはしたくないんでね』

「あ、はーい。えーっと?」


 ふむふむ。召喚したと同時に出てきた説明によれば基本的に声に出して命令するとその通りに行動すると。成長すればある程度は自分で考えて動くみたいだな。


「とりあえず、殴る蹴るで攻撃」

『ゲヒャ!』


 とりあえず適当に命令すると鳴き声を上げて近づいていって、殴ったりけったりし始めた。

あ、攻撃したからか体力ゲージが見えるようになった。どれどれ?

 12085/12090ってことは...まぁ一発5ダメージと。弱くね?

あ、蹴りで6ダメージ入った。というか、こいつが弱いのもそうだけど、あいつ体力多くない!?


「あんた体力多くね?」

『ん?そりゃ文字どりレベルが違うからな。それに、スキルで最大値を伸ばしてるからおなじ職業の同じレベルより高いぞ』

「へぇーそんなスキルあるんだ」

『ああ。それより、降参だ』


 あいつがそういうと同時にメニューがあらわれた。


====================

戦闘終了

召喚術士サモナーのレベルが2上昇した。

緑小鬼グリーンゴブリンはスキル〔格闘〕を取得した。

====================


「ん?なんかスキル取得した」

『ん?あんたがか?』

「いや、こいつが」

『あーまぁ緑小鬼グリーンゴブリンはスキルの取得も早いからな。こりゃ案外早く終わるかもな』

「だといいなぁ。ついでに、俺のレベルも2上がった」

『まぁそれもレベル差のせいだな。まぁ、気絶させるより手に入る経験値は少ないからよく2レベルも上がったなって感じだな』

「へぇ。まぁそりゃそうか」

『ああ。それより、一度そいつをカードに戻しな。もう一回召喚すれば〔召喚サモン〕のスキルレベル上げができるだろ』

「ああ、なるほど」


 言われて気が付いたので、緑小鬼グリーンゴブリンを一度カードに戻して再び召喚。

というかいちいち種族名でいうのも面倒だな...どっかに名前つけれるところとかないかな...あった。


「さて、どうするか」

『ん?さっさと召喚してやればいいだろう?』

「いやそうじゃなくて、いちいち種族名でいうのも面倒だから名前を付けようとしてるんだが...」

『そういうことか。まぁたしかに面倒だな』

「でしょ?てことでなんかいい案ない?」

『おい...そういうのは自分で考える物だろうが...』

「まぁそうなんだけどさぁ...」


 どうすっかなぁ...これ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る