第20話

「10年後、またここで待ち合わせしようね」


「俺、そういうちょっとクサい結実の考え方好きだよ。話してると絵本読んでるみたいな気分になる」


「好きかなって思って言ってるだけだよ」


「ふっ。でたよ計算」




書き初めに丁寧に書かれた「奇跡」という力強い文字。


小3のきみが願った思い。

青い三輪に賭けた願い。


病室に反抗したような部屋の色。


中学3年間守り続けた、小さな命の灯。


わたしのことも守ってくれた、きみの生き様。



よし。先は長い。化学のちからを信じよう。なんならわたしが新薬作るよ。文系だけどさ、そんな勢いで未来に行くよ。



いくつもの枝のどれを選んでもその先に、「大人になりたくないから」って笑う、大人みたいになったきみがいる。


いい方向に繋がることもあれば、わるい方向に転ぶこともあるかもしれないけど、それでもこの恋は、変わらず、忘れることは決してないまま、この動き続ける心臓に残すよ。この恋最強だもん。



何度もきみにときめいた心と


生きてることを、恋することを、幸せなことだと教えてくれた小旗くんを



会わない時間は思い出して焦がれて、



「こういうわたしも、好きでしょ」


「うん。すっげー大好き」




15歳ながら、愛に生きる。







interlude.

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