第10話

3年に進級してから2ヶ月と11日。


あと2日で一年記念日を迎えるはずだったけど、その前日のやりとりと、それに追い討ちをかけるかのようなきみの一言で、わたしたちはカレシカノジョの関係を解消した。


つらくて、頭が痛くなって熱が出るほど泣きまくったあの夜。


熱がひいて学校に行けたのはその3日後。



きみは学校に来なくなっていた。




「最後に少し話したくてさ」


「最後って、どういう意味で言ってんの」



小さく笑う小旗くんにキレそうになった。がんばって不安を抑えながら聞いたこの質問の答えによっては、抑えるのをやめると思う。



「なんだよ、卒業だからってことに決まってんじゃん。こわい顔しないで」


「…それもそれで腹立つ」


「ふっ。怒った顔もかわいーな」



きみが学校に来なくなった時から、サイゴって言葉を、どこにいて誰と話していても避けるようになった。


そんな言葉を、きみに言ってもらいたくない。



「なあ、あの青いバラくれたのって結実ゆいみだった?」



付き合ってから名前で呼ばれるようになった。

それを、久しぶりに聴いただけで、泣きそうになるんだ。

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