第4話
空が薄暗い。
グレーの毛並みのウサコと黒白のミーシャの頸元を撫でながらそう思っていると、その手にぼたりと水が落ちた感覚がした。
はっとしてウサギを小屋に入れてあげる。小旗くんもにわとりを隣の小屋に入れてあげていた。わたしって薄情だなあ。にわとりは、ちょっと近づき難い。
「水槽の方行こ」
呟くようにそう言った彼は飼育フェンスを軽々と飛び越えた。
足長いからな。簡単にそういうことをやってのける。
わたしはその姿が心臓にぐっときてしまってなかなか動けない。
にわとりちゃんの鳴き声と共にフェンスの向こうで振り返りこっちを見る小旗くんを見て、雨が強くなっていることを感じながらドアの方に回って外に出た。
わたしにしたらフェンスをジャンプで乗り越えるよりドアまで歩いた方が簡単なんだ。
きみとわたしは、全然ちがう。
「雨降ってきたね」
「うん」
「濡れるけど、急がないの?」
「走るの好きじゃないから」
ジャンプはできるのに、走りはしない。
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