第6話 ワームダンジョン
はぐれのグリーンワーム先生を倒し、上手いことレベルアップを果たした柴犬とテントウムシ。二匹で小躍りしている様子を見ている者がいたら、さぞかし奇妙な光景だっただろう。
僕とまるはレベルアップしたけども調子には乗らず、西にあるダンジョンを目指しながら、時折見つけるワーム先生を倒し、着実にレベルを上げながら進んでいく。
お目当てのダンジョンにつく頃には、まるはレベル5に僕はレベル4に上がっていた。
〈まず中に入ってみよう。低階層ならレベル上げにうってつけかもしれないからね〉
〈わかったわん。でも、危なくなったらすぐに逃げ出すわん〉
僕達は慎重にダンジョンへの入り口へと入っていく。中は洞窟のような作りになっていて、少し広めの通路の向こうから数匹のグリーンワームがこちらに向かって来るのが見えた。
この狭い場所で土魔法を使うと、通路が塞がれる可能性があるな。こういうときに使える魔法は……
【スキル 水魔法を手に入れました】
はい、いただきました水魔法! そして使うのは……
(ウォーターストリーム!)
水魔法ウォーターストリーム。僕の目の前に大量の水が出現し、勢いよく流れて行く。その水に飲まれ、グリーンワーム達は岩肌へと叩きつけられた。
〈うわ、めまいがする!? しまった。魔力を使いすぎた……〉
〈だいじょうぶかわん!?〉
昔の感覚でそこそこ魔力を使う魔法を使ってしまった。おかげで一瞬で魔力が空になり、目の前がぐわんぐわん揺れている。
〈まる、少しの間、僕を守って……くれない……か〉
僕はまるに後を託して気を失ってしまった。
~side まる~
(まずいわん!? ミストが気を失ってしまったわん!? オイラがしっかりしないとだめなんだわん! でも、ちょっとこわいわん)
オイラは動かなくなってしまったミストの前に立ち、ダンジョンの奥を見つめる。大半のグリーンワームはミストの魔法で押し流されて、大ダメージを負っている。それでも何体かは無事だったみたいで、もそもそとこちらへと向かってきた。
(先制攻撃だわん!)
オイラは糸を吐かれる前に、先頭のワームに噛みついた。レベルが上がった噛みつき攻撃は、ワーム相手には十分効果があったようで、一噛みで胴体を噛みちぎることに成功した。
(レベルが上がって身体が軽いにゃー……わん! こいつらの吐く糸なんて簡単にかわせるわん!)
ワーム数匹が吐く糸を難なくかわし、噛みつき攻撃でその数を減らしていく。ものの二十分ほどで、全てのワームを倒し終えた。
(ミスト、大丈夫かわん?)
オイラはまだ動かないミストを鼻先でつんつん突いてみた。
〈う、うーん。はっ!? まる、大丈夫だった!?〉
気を失っていたのに、目覚めた開口一番にオイラの心配をしてくれるなんて、何ていいやつなんだ。やっぱり、オイラはミストについていくんだわん!
~~~
危なかった。敵を目の前にして気を失うなんて。まるがいなかったら死んでいたな、間違いなく。ありがとう、まる!
それにしても、この身体で高ランクの魔法を使うのはまずいね。もっと進化してレベルを上げて魔力を多くしないと、また同じ目にあってしまう。地球を守る以前に、自分を守れなくなってしまっては本末転倒だ。早急にレベルを上げなくては。
僕はまるに感謝を伝えつつ、もう少し慎重に進むことにした。
ということで、このダンジョンにはワームがたくさんいるが、奥に進むことは優先せずに、できるだけ数の少ない集団を狙ってレベル上げをしている。
まるがいれば五匹くらいまでなら安全だということがわかったので、それ以上の数の集団を見つけたときは、そっと回れ右をして別の集団を探す。
そんな感じでレベリングすること三時間、まるも僕もレベル8に上がっていた。
〈何か、足音みたいのが聞こえるわん〉
だいぶ時間も経ったし、レベルもいい感じで上がったのでそろそろ一度戻ろうかと考えていたとき、まるが何者かの足音を聞きつけた。人数は一人みたいだが、このダンジョンにソロで来るとはなかなかの強者なのか?
丁度、戻ろうとした方角から来るのでいったん反対側へと移動してやり過ごそうとしたのだが、なぜか足音はこちらの居場所がわかっているかのように近づいてくる。
〈まずいわん、かなりのスピードで近づいてくるわん、このままだと追いつかれるわん〉
足音がこちらに向かって来ているのが、偶然なのかそうじゃないのかがわからないが、このままだと追いつかれるのは目に見えている。探知にはかかったんだけど、鑑定は弾かれてしまったところからみると、僕等よりも格上の可能性が高い。追いつかれたら、二人ともやられてしまうかもしれない。
〈まる。次の曲がり角を右に!〉
〈わかったわん!〉
まるに念話を送り、次の曲がり角を左に曲がる。
〈えっ!? 右っていったはずわん!?〉
〈まる! そのまま先に進むんだ! このままじゃ、二人ともやられちゃう! おそらくあいつは
〈そんなだわん!?〉
〈いいから! もし僕が無事にここから出られたら、また念話を送るから。早く! 逃げるんだ!〉
念話している間も僕はどんどん先へと進む。まだ念話の熟練度が低いからか、はたまた魔力が足りないからか、すぐに念話が届かなくなった。
そして、探知で確認すると案の定、追跡者は僕の方を追いかけていたようだ。さらに二つ曲がり角を曲がったところでついに追いつかれてしまった。
「おいおい、何か変な
背後から聞こえてきた声に振り返ると、傷だらけのしかし素材は決して悪くなさそうなライトメイルを着た、若い冒険者風の男が立っていた。
片手剣を持ち、反対の手にはスモールシールドを装着している。身のこなしからすると、そこそこのレベルに見える。といっても、今の僕にとっては遥かに格上っぽいけど。
どうしよう。念話で話しかけてみるか? いや、しかし却って逆効果になる気もする。いやいや、黙っててもやられるだけだ。やはり、話しかけてみるしかないか。
〈あー、僕は人間に危害を加えるつもりはない。見逃して貰えないだろうか?〉
僕は
「おいおい、念話持ちか!? それほど強そうには見えないけどな。だがよ、オレは知ってるぜ。そう言って油断させておいて、仲間を殺した
ぐは、まさかの逆効果だった。男は唐突に片手剣を振り上げ、襲いかかってきた。
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