第5話 初進化 ○

〈へー、ミストって言う名前なのかわん。何か変わった名前なんだわん〉


 まると念話で会話をしながら丁度よさそうな建物を探す。おっ、いい建物があった。半分崩れてて、まさかあそこに生き物が隠れているとは思えなさそうな雰囲気を醸し出している。


 僕はまるに見張りを頼んで、隙間から中へと入っていく。そして、ステータスの進化可を選んで念じる……


☆アフィッド・セイジ

☆スティック・バグ・セイジ

☆レディ・バグ・セイジ


(ええと、わかりません。この名前じゃ全くどんな生き物なのかわかりません)


 どうしよう。でも、進化しないという選択肢はない。一応、全部の進化先にセイジがついているから、魔法使いっぽくなりそうな気はするけど……


 鑑定で見ても同じ名前が出てくるだけだ。仕方がない。勘で選ぶとするか。


 僕はこの中の一つを選んだ後、光に包まれ意識を失った。




(ううぅ、僕はどうなったんだ? 確か進化しようとして……)


 そうだ。僕はメタルアントから進化しようとしたら、全く見たことのない名前ばっかりだったから勘で選んだんだったか。外にはまるの気配があるということは、それほど長い時間意識を失っていたわけではなさそうだ。


 僕は早速ステータスを確認する。


種族 レディ・バグ・セイジ(変異種)

名前 ミスト

ランク H

レベル  1

体力 7/7

魔力 10/10

攻撃力    3

防御力   12

魔法攻撃力  8

魔法防御力  8

敏捷     7


スキル

特殊進化 New!

鑑定 New!

探知 New!

言語理解 New!

念話 New!

アイテムボックス

思考加速

並列思考

危機察知

再生

魔力回復

飛翔 New!

痛覚耐性

火耐性

火魔法 New!

土魔法 New!


称号

帰還者

進化者 New!

同族殺し


 どうやらこの姿はテントウムシのようだけど……


 ぎゃー!? 弱くなってる!? 魔法と防御力は上がってるけど、それ以外はめっちゃ弱くなってる!? これは予想外だ。この先進化を続けて大丈夫なのだろうか……


 とりあえず、後戻りはできないみたいなので、ごそごそと這いだして相棒の元へと向かう。


〈やっと出てきたわん! すごく怖かった……なんなんだわん!? 姿がすっかり変わってるわん!? これが進化なのかわん!? でも、前より弱そうに見えるわん……〉


 くっ、痛いところを突かれてしまった。実際弱くなってるから、何にも言えない。それにしても、攻撃力はまったく期待できないな。魔法で戦うしかない。名前にセイジとついているのは、二属性魔法を使えるから賢者という扱いなのかな。


〈ちょっと、進化は失敗かもしれないけど、レベルが上がればまた進化ができるから、弱そうな敵を探してレベル上げをしようか〉


〈わかったわん。確か、ここからさらに西側にダンジョンがあるって飼い主が言ってたわん。そっちに向かってみるのはどうかわん?〉


 おお、ダンジョンがあるならそこでレベル上げができるかもしれないね。まずはダンジョンから出てくるのを狙って、少しレベルを上げてから挑もう。


〈いいね、そうしよう!〉


〈じゃあ、オイラが案内するわん。それにしても、その銀色の身体目立つわん〉


 僕は銀色の身体に七つの金色の斑点がついているという、これ以上ないくらい派手な格好で、まると一緒に西にあるというダンジョンへと向かうのだった。



 ▽▽▽



 道中で、まるにこの世界のことを聞いた。まる自身もまだ生まれて三年しか経ってないようで、詳しくはわからないと言っていたけど、どうやらここは僕が死んでから五十年くらい後の日本のようだ。それに、ダンジョンが発生したのは三ヶ月前で、突如現れたダンジョンから侵略者アグレサーが溢れ出し、日本の人口は一気に半分に減ってしまったのだとか。


 人間達は近くにあった大きな建物を避難し、その避難所セーフティーに立てこもることで何とか生き延びている状況だ。しかし、食料や生活用品が限られているので、定期的に外に出てかき集めているのだとか。


 それに、侵略者アグレサーを倒した人達にスキルが発生したことで守護者ガーディアンという職業が誕生し、避難所セーフティー侵略者アグレサーから守る役割を担っているそうだ。僕が最初に出会ったのも、その守護者達なのかもね。


 ただ、周りの建物の食料も尽きてきたから、動物を狩ったり、最近は侵略者アグレサーを倒して食べられないか研究し始めたらしい。


 そんなことを聞きながら、歩いていると一匹のワーム型の侵略者アグレサーが歩いているのを発見した。これはこれは、ワーム大先生じゃないですか。こちらの世界でもお世話になります。


種族 グリーンワーム

名前 なし

ランク H

レベル  5

体力 25/25

魔力 0/0

攻撃力   12

防御力   15

魔法攻撃力  0

魔法防御力 10

敏捷    15


スキル

粘糸


 よしよし、期待を裏切らないステータス。ちょっとレベルが低いけど、僕達二人にとっては格上だから大丈夫。できればもう二~三匹いるといいんだけど。


 僕は丸い体をカサコソと動かしながら、ワーム先生へと近づいていく。これ以上近づくと見つかりそうだというところでストップして、土魔法の準備をする。狙いは糸を吐く口だ。


(ストーンニードル!)


 僕の放ったストーンニードルは、吸い込まれるようにグリーンワームの口へと突き刺さった。よし、これで糸を吐けなくなったな。


〈まる、出番だよ!〉


〈後は任せるわん!〉


 僕の魔法が当たったところで、作戦通りにまるが飛び出していった。グリーンワームは慌てて糸を吐こうとするが、ストーンニードルが刺さっているせいで、上手く吐き出せない。

 その隙にまるが胴体に噛みつき、首をブンブン振ることで傷口を広げている。よしよし、魔力が少なくてあまり魔法を撃てない分をまるがカバーしてくれる。いい相棒が仲間になってくれたね!


 胴体が半分ほど千切れかけたところで、まるがグリーンワームから離れた。どうやら、トドメを譲ってくれるようだ。


(ストーンニードル!)


 僕が放ったトドメのストーンニードルは、グリーンワームの額を貫き、無事芋虫の討伐を完了した。


〈レベルが上がったわん!〉


〈僕も上がったよ!〉


 さすが格上相手に勝利すると経験値も美味しい。二人してレベルが上がったことをよろこんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る