運命の人まであと2km
都内の駅を降りて高速道路の高架下を歩いていると、妙な看板を見つけた。
【運命の人まであと2km】
区役所や博物館の距離表示と共に、当たり前のように書かれている。矢印は俺が歩く方向へと向いていた。
何度か目を擦って看板を確認してみるが、どう見ても運命の人までの距離が書かれている。一体どういう事だろう。
そもそも、こんな大通りに看板が立っていたら、俺以外の人も見るはずだ。各自の運命の人が二キロ先に集結していたら、あまりにも気持ちわるい。公園の広場で満員電車に乗るかのようにぎっしり立っている男女を想像して思わず頭を振った。
そんな事あるわけない。
俺は看板を無視して歩き始める。
しかし、万が一。万が一、二キロ先に一目惚れをするような女性が立っていたら声を掛けてみようか。別に看板があったからではない。あくまで偶然、俺の好みの女性に俺の意志で声を掛けるだけだ。
おそらく看板を見かけてから二キロ程度歩いた。
俺の視界には、歩道に佇む一人の女性が映っていた。
黒いワンピースに身を包み、スラリと白く細い腕が眩しい。
――本当に居た。
俺は勝手に高鳴る鼓動を押さえつけてその女性に近づく。
彼女は足音に気が付き、ゆっくりとこちらへ振り返り微笑んだ。
この人が――。
俺はその瞬間、稲妻が脳天に直撃したような衝撃を受ける。
そう思った時には、俺の視界はぐるぐると回り、地面に倒れていた。
脳天からドクドクと血が噴き出しているのを感じる。
霞む視界で、女性は金属バットを持って笑っている。
この美しい女性は確かに俺の運命を握っていた。
都内の駅を降りて高速道路の高架下を歩いていると、妙な看板を見つけた。
【運命の人まであと2km】
区役所や博物館の距離表示と共に、当たり前のように書かれている。矢印は俺が歩く方向へと向いていた。
何度か目を擦って看板を確認してみるが、どう見ても運命の人までの距離が書かれている。一体どういう事だろう。
そもそも、こんな大通りに看板が立っていたら、俺以外の人も見るはずだ。各自の運命の人が二キロ先に集結していたら、あまりにも気持ちわるい。公園の広場で満員電車に乗るかのようにぎっしり立っている男女を想像して思わず頭を振った。
そんな事あるわけない。
俺は看板を無視して歩き始める。
しかし、万が一。万が一、二キロ先に一目惚れをするような女性が立っていたら声を掛けてみようか。別に看板があったからではない。あくまで偶然、俺の好みの女性に俺の意志で声を掛けるだけだ。
おそらく看板を見かけてから二キロ程度歩いた。
俺の視界には、歩道に佇む一人の女性が映っていた。
黒いワンピースに身を包み、スラリと白く細い腕が眩しい。
――本当に居た。
俺は勝手に高鳴る鼓動を押さえつけてその女性に近づく。
彼女は足音に気が付き、ゆっくりとこちらへ振り返り微笑んだ。
この人が――。
俺はその瞬間、稲妻が脳天に直撃したような衝撃を受ける。
そう思った時には、俺の視界はぐるぐると回り、地面に倒れていた。
脳天からドクドクと血が噴き出しているのを感じる。
霞む視界で、女性は金属バットを持って笑っている。
この美しい女性は確かに俺の運命を握っていた。
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大体5分奇譚~しののきたん~ 紫野一歩 @4no1ho
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