日常

3ヶ月後

「しかし、本当に良かったのでしょうか。」

事務総長の秘書が事務総長にそう疑問を投げかける。

「うん?何がだ?」

「地球に我々の存在を知らせたことです。あれから宇宙標準時間で21日が経ち、地球は宇宙連合の一員となりました。しかし、未だに地球では混乱が続いています。それに、地球が宇宙連合の一員になることをよく思ってない星もいます。」

「ふむ…そういう意見も一理あるが、宇宙連合に加盟した星のほとんどは最初は地球のように混乱した。地球だけが特別な訳では無い。少ししたら混乱も落ち着くさ。それに、地球で起きていた戦争は全て終わった。悪いことだけではない。」

「…確かにそうですね。」

その頃 地球

「今日で地球が宇宙連合と接触してから3ヶ月が経ちます。」

海斗はニュースを聞きながら身支度をしていた。最近のニュースはどれも宇宙の話ばかりだった。海斗は慣れた手つきでスーツを着て、ネクタイを付けた。時間になると海斗はテレビを消して、家を出た。海斗は大田区の羽田4丁目に住んでおり、普段通勤では京急を使っているのだが、羽田宇宙港に繋がっているので宇宙人が多い。海斗が最初に宇宙人を見たときは驚いたが、最近は宇宙人を見ても驚かなくなっていた。海斗はすこしの間電車に乗って品川駅に着き、品川駅で山手線に乗り換えた。最近は自動放送に宇宙で最も使われている言語であるメリーヤ語も使われるようになった。最初は独特な発音のメリーヤ語の自動放送に慣れなかったが、最近はメリーヤ語の放送にも慣れてきた。海斗は山手線に10分ほど乗り、東京駅で降りた。改札を出て、駅のすぐ近くにあるビルに入った。どうやらここが海斗の職場のようだ。

その夜

海斗は仕事を終わらせ、帰宅中に山手線の車両の中でスマホでニュースを見ていた。すると、こんなニュースがあった。

(ティターン条約機構が地球の宇宙連合加盟に対し猛烈に反対…?)

海斗はそのニュースの見出しを心の中で読み上げた。ティターン条約機構とは、アペフィスという星が宇宙連合に対抗して作った組織だ。ティターン条約機構がやることは基本過激で、宇宙の中で一番危ない組織だと言われている。しかし、ティターン条約機構は宇宙連合に匹敵するほどの力を持っており、加盟している星も数え切れないくらいいる。そのような組織がなぜ今さら地球の宇宙連合加盟に対して反対するのだろうか、海斗はそれが不思議だった。それと同時に、海斗は胸騒ぎを覚えた。

数時間前 ティターン条約機構本部

薄暗い部屋に2人の宇宙人がいた。

「地球の宇宙連合加盟を許すわけにはいかない。」

ティターン条約機構のトップであるモルティス・ノクティスは苛立った声でそう言った。

「どうしたんだ?いきなりそんなこと言って。」

タルタロス・ヴェイロンはいきなりそう言ったノクティスに対してそう言った。

「我々は前から警告していた。宇宙連合が規模を拡大することは我々の理念の反する。だが、奴らは聞く耳を持たなかった。これは我々に対する挑発と受け取っていいだろう。」

「今さらどうしたんだよ。じゃあどうするんだ?戦争でもするのか?」

「ああ、徹底的に宇宙連合と地球を潰す。」

「へ〜、まあ、いいんじゃない?俺も協力するよ、面白そうだし。いつやるんだ?」

「ティターン時間で次の11時のときだ。」

「分かった。他のやつらにも言っとく。」

暗闇が、地球へと忍び寄る…

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