会議
宇宙連合本部
「何だと!?それはどういう事だ!」
廊下にまで事務総長の怒鳴り声が響いた。
「地球監視船が地球のスペースデブリにぶつかって、東京湾に墜落したようです…」
「空隠はどうした!それさえあればスペースデブリにもぶつからないはずだろう!」
「どうやらその地球監視船は当時空隠を使っていなかったようでして…」
「空隠も無しで地球に墜落したということは、地球人に我々の存在がバレてしまったということではないか!」
「情報部によりますと、今のところ地球人は宇宙船とは認識していないようです。」
「今その宇宙船はどうなっている?」
「今はなんとか復活した空隠を使い、東京湾に浮いたままのようです。ですが、いつ空隠がまた壊れるか分かりません。」
「今すぐその船を回収して月の宇宙港に持っていけ!」
「分かりました。」
数時間後 月の裏側
仮のエンジンが付いた地球監視船が、月の裏側にある宇宙港に着陸した。宇宙船は着陸したあと宇宙港のへんぴな場所に移され、そこで修理をされた。そこには、宇宙連合の事務総長もいた。
「ひとまず、これで一件落着だな。」
「そうですね。」
数時間後 宇宙連合本部
「では、会議を始めます。」
大量の宇宙人が集まった巨大な会議室で、司会を務める宇宙人がそう言った。
「まず、地球に墜落した地球監視船についての報告をお願いします。」
司会がそう言うと、1人の技術者が立ち上がった。
「現在地球監視船は月の宇宙港に移送され、修理作業を受けています。」
「地球人に目撃された可能性は?」
「幸い、地球人の多くは宇宙船だとは認識していないようです。しかし、一部の地球人は宇宙船だと信じているようです。
「分かりました、ありがとうございます。ですが、今回の事故は我々にとってとても重大な事故です。どうやら、何人かの地球人は宇宙船を目撃したことによって、我々に拉致された記憶を取り戻そうとしている可能性があるようです。地球などの第1文明の星に我々の存在を知られてしまう事は宇宙法に違反します。」
司会がそう言うと、会議室がざわついた。
「地球人の記憶から地球監視船についての記憶を抹消するべきでは?」
「いや、それでは不十分な可能性もあります。今までの地球は観察対象として保護されてきましたが、近年の彼らの技術は急速に進歩しており、我々の存在が彼らに知られてしまうのも時間の問題です。」
すると、事務総長が口を開いてこう言った。
「皆に1つ問いたい。これから、地球という星をどうするべきか。」
事務総長がそう言うと、会議室は静まり返った。
「私はこう考えている。地球への接触を正式に開始するべきだと。」
事務総長がそう言うと、会議室がざわついた。
「そんなことをしたら、地球は混乱する!」
「それに、我々に対して敵対するかもしれない!」
会議室はそのような声で溢れかえった。
「静粛に!もちろん皆が言いたいことも分かる。しかし、先ほど司会が言ったように我々の存在が地球人にバレてしまうのも時間の問題だ。それなら、いっそのこと地球人と接触したほうが良いと私は思う。そこで、皆の意見を聞きたいと思う。これから投票をするので、私の意見に賛成か反対かを教えてくれ。」
数十分後
「投票の結果が出た。賛成が3914票、反対が1086票だった。」
事務総長がそう言うと、会議室がざわついた。
「次の宇宙標準時間の65時に宇宙船を地球のワシントンD.C.という場所に降りてアメリカという国のトップと接触する。」
「なぜ地球監視船が墜落した日本という国のトップではないんだ?」
そのような声があったが、事務総長はこう言った。
「地球の中で最も力を持っている国はアメリカだ。日本のトップよりもアメリカのトップの方が影響力がある、だからだ。」
事務総長はそう言って会議を終わらした。
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