第1話
「妖」世間ではそう呼ばれている。
2024年8月14日の夕暮れとともにその姿を顕現させる。
東京23区に居たすべての人々が消え、その力に人々はひれ伏すしかないと思っていた。
東京23区への一切の立ち入りを禁じた。しかし、悪ふざけなどで夕暮れ前後に無断で立ち入るものが後を絶たなかったが皆ことごとく夕暮れ後に消失した。
そして2027年には安全だと思われていた東京都23区付近でも人の消失、この頃には神隠しと呼ばれていた。しかし3年前とは違うことが一つ。「
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「2036年 4月1日 警視庁公安部 特殊部隊「青龍」本部基地」
モニターに照らし出された資料に目を通しながら
「ついにこの日が来たな」
そう言い、コーヒーを流し込む。この男の名は「
そして向かいのデスクに座っている女性が「
戸真伊の言葉に続けるように兎澤が
「そうですね。あの日からもう12年も経ったんですね」
そう言いながら少し複雑そうな表情を浮かべた。
その表情を見てか鮫島が
「あの二人は実技試験で過去最高得点を叩き出したらしいぞ
それに、今年は試験合格者が4人も居るみたいじゃないかこれから活躍が楽しみだな」
そう言うと、兎澤は控えめな笑みを浮かべながら
「そうですね。そろそろ時間です、彼らを迎えに行きましょうか」
そういって二人はデスクを後にした。
複雑な過去を抱えた二人が希望に満ちた未来へ一歩、また一歩と歩み始める。
「青龍本部基地 デスクスペース」
青龍部隊長の戸真伊晴に引き連れられ4名の新人が少しばかり緊張した面持ちで姿を現す。その4名の中で先陣を切るように湖崎が口を開く
「本日付で警視庁公安部 特殊部隊「青龍」に配属の湖崎竹秀です
よろしくお願いします」
それに続くように
「同じく本日付で警視庁公安部 特殊部隊「青龍」に配属の和久津颯です
よろしくお願いします」
「同じく本日付で警視庁公安部 特殊部隊「青龍」に配属の
皆さんの力になれるように頑張ります。よろしくお願いします」
「同じく本日付で警視庁公安部 特殊部隊「青龍」に配属の
ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします」
そう言って新人たちの挨拶が終わり各々のデスクに案内された。
皆が座り、
「では、次は我々の番だな」
と戸真伊が口を開く。
「私はここの部長を務める戸真伊晴だ。分からないことや困ったことがあればすぐに相談してほしい。よろしく頼む」
そう言い座ると横のデスクの女性が立ち上がり、
「では、次は私が。
兎澤千祥。副部長として日々任務に努めています。よろしく」
そして新人たちのデスクの向かいに座っている男性が立ち上がる
「お初にお目にかかります14期生の
今年は4人も新人が居るなんて驚いたが、新人だろうが今日から同じ部隊の一員だ、新人扱いはしてられん。が、困ったことは何でも俺たち先輩でも上司にでも頼るといい。よろしくな」
そして最後に向かいの女性が
「初めまして、15期生の
私はまだ2年目で初めての後輩なので、立派な先輩になれるように頑張るので
皆さんも一緒に頑張りましょう。よろしくね」
そう言い皆の自己紹介が終わった。
少しばかり緊張の解けた新人たちの表情を見て戸真伊が
「それじゃあ」と言って立ち上がる。
新人含め他の隊員達は何が始まるのかという表情を浮かべ戸真伊の方を向く。
すると、「今年は新人隊員が四人も居る。これは物凄く喜ばしいことだ。というわけで歓迎レクリエーションと題して新人VS先輩で戦闘訓練を行う!」
あまりの意気揚々と言う戸真伊に皆が呆気をとられていると
「あ、勿論私も参加する」
と自信満々に言うのですかさず鮫島が
「いやいや、そこじゃないでしょ」と小さな声で呟くと、
戸真伊が「いや実はな、今年から試験内容の実技が我々が普段から使用している訓練装置を使用したものに変更されていたにも関わらず四人も合格者が出たことが非常に喜ばしいのだよ。だから一応は試験で触れているのでその時の実力をもっと自分のものにしてほしいと考えてこの企画を思いついた」
と詳しく説明したことで皆が納得した。
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更衣室にて着替えを終えた一同は続々と訓練室に入室する。訓練室と言っても広々とした場所に様々な障害物があるが全てが白で統一されており、まるで撮影スタジオの白ホリの様だった。それに合わせて専用のVRゴーグルを接続することでただの白いボックスが映像内では立派なビルや家屋になっているのだ。
「それでは全員揃ったかな」と戸真伊が辺りを見渡す。そして全員が揃っていることを確認すると戸真伊が
「ではレクリエーションを始める。ルールはいたってシンプルで私たち先輩チームは妖役、新人チームはその妖のHPをゼロに出来れば勝ち。制限時間は二時間HPがゼロにならなければ妖役の先輩チームの勝ちということだな。何か質問はあるか?」
そう言うと皆は特に質問は無いという様な表情を見せたので
「それでは初めに三十分間で作戦会議を両チームにしてもらおうか」
そういい両チームは少し離れたところに輪になった。
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妖役「先輩チーム」
ゴーグルの液晶上にお互いのメンバーの武器一覧を見ながら戸真伊には既に少し考えがあるようでそれを口にした。
「今回の戦いにおいてお互いかなりバランスのいい武器配分なのだ。ということはだな武器の持ち主の技術力・持久力の差が今回の決め手だと思っている。」
それに対して皆同意のようで小さく頷いていた。
そこにあることに気が付いた鮫島が口を開く
「でもそれ以前に実践やこの訓練場に慣れている俺たちの方が有利なんじゃないのか?」と言うとそれに対して戸真伊が
「そうだな、そこに関しては鮫島君のいう通りだが、あの二人にそれが通用するか、否か…」と少し曖昧な回答をすると本瀬が「あの二人っていうのは?」と投げかけた。
それには兎澤が答えた。「和久津颯と湖崎竹秀のことよ。今年度の最高得点はあの二人が青龍設立以来初めて満点で合格している。」
それには本瀬も鮫島も開いた口が塞がらないほど驚いている。しかしそれと同時に、今回のレクリエーションをしようと言い出した戸真伊の意図を汲み取った二人は口を揃えて「「手を抜くな、本気でやれということですね」」と言った。
それを聞いて戸真伊は安心した様に「今回は敢えていつものような細かい指示は出さない。私からは以上だ、何か言いたいことがある人はいるか?」
それに対し三人は首を横に振った。
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一方そのころ隊員「新人チーム」は
結月が恐る恐る「何か作戦のある人は居るか」と言うと、湖崎が
「これは俺の勘でしかないが、恐らく先輩方は俺たちを殺すぐらいの勢いで応戦してくるはず」といいそれに対し和久津が「あのさ、ヒデ…言葉のチョイスはもう少し考えた方がいいと思うな…まあ先輩方が本気で僕たちと戦うっていうのは確かにそうかもしれない」そういうと小鷹狩が「とゆうことは先輩方は私たちの臨機応変力を確かめているのかな…?」と言う。すると湖崎が「それもある。先輩方の作戦はさすがに計り知れないからこちらは敢えて作戦は決めない方がいいだろう。ただ、これだけは聞いてほしい」そういうと何を言うのかと三人が固唾を飲むと
「仲間を頼るってことだな。まだほぼ初めましてに近いが…」
そういうと三人はそうだなといった様子で作戦会議が終わりそれと同時に作戦会議終了の合図であるブザーが鳴り響いた。
その後直ぐに機械音声で
「間も無く戦闘訓練が始まります。各自準備してください」
そのアナウンスを合図に皆構える。しばらくすると再び機械音声で
「5、4、3、2、1,訓練開始」
その合図とともに両チームエリア内を駆け回る。
機密ファイルNo.814 ~「痛み」を知る二人の少年の監察記録~ 朧月 雪兎[おぼろづき せと] @Yoru_Oboroduki
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