5

第二回戦。橋本家を尋ねる。

確かこいつには妹がいたような気がする。

橋本は中学の頃のサッカー仲間で、家族ともども東京に引っ越してきている。


サブスクのサッカーの試合を見せてくれという口実でリビングに居座った。

ここにいれば妹が通るかもしれない。

橋本んちは金持ちだからリビングは広々している。

ソファにどかんと座って試合を見始めた。


「なんだよ急に。」

「なんか飲み物ないのか?」

「ずうずしいやつだなあ。ビールでも飲むか。」

「いいねえ。」


その時玄関側で物音がする。

来たか。


妹らしき声がする。


来た。


入口でパタッと止まってこっちを見る。

「え、お客さん?」とびっくりした声。

イケメンの兄にして、美人の妹ありか。


「おじゃましてます!」

女子とふたりっきりだと緊張して何もできなくなるが、橋本といれば平気だ。


「林だよ。」と橋本。

「あ、林さんこんにちわ。」

そういえば一度だけ会ったことがあるのを思い出した。

あの時は、まだちいさかった気がする。


挨拶だけしてささっとリビングを出ていき、階段を上がる音がする。


「美人になったな。」

「そうかあ?」


明るくて元気のいい子だ。

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