6

いきなり2戦目にして本命来たかもしれない。

ちょっと俺には美人すぎて不釣り合いだが。


よし、がんばるぞっと思ったが、二の矢が打てないことに気が付いた。


次にどうやって話す機会、会う機会を作ればいいんだ。


会うことは会ったが、それでおしまいじゃないか。


橋本に言って、妹も一緒にサッカーでも見ないかなんて言えるわけないし。


考えろ、考えろ。


妹の部屋にも行くわけにはいかんし。


詰んだか。


また玄関の方で物音がする。

ただいまーと大きな声。

母親だ。


「あらー林君久しぶりねえ。」

「あ、おじゃましてます。」

「さっき、妹さん通ったんですけど、大きくなりましたねえ。」

「そーお。生意気になっただけでしょー。」

「美人になっててびっくりしました。」


「お前、妹に手を付けんなよ。」と橋本。

「いやあ、わかんねえよ、あんなに可愛いんだから。」

「ははは、林君もらってくれる?」


お母さんはほがらかであいそがいい人だ。


「そうですね。どうしてもって言うんだったら。」

「お前にだけにはやらん。」と橋本が案外真面目におやじみたいなことを言う。

「お前の娘じゃないだろ。」


お母さん、ケタケタ笑っている。

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