第17話 ウォータースライダー
「えっ? ミュウの弟に絡まれた?」みのりちゃんが怪訝そうな顔をした。
カツヤ君からミュウちゃん経由で、姉に変な形で話が伝わるのを恐れ、予防線を張る意味もあって、予め私から今日あった事を説明したのだ。
「そっか。弟君が、ミュウが元気ないのがあき君のせいだってか。確かに最近ちょっと痩せて来ちゃってるみたいだし心配だったんだけど……まさかあんたに恋煩いとは」
「いやお姉ちゃん。ミュウさんは年下の男の子が好きみたいで、別に僕だけって事じゃないと思うよ。カツヤ君もお姉さん意識しちゃって最近甘えてないんじゃないかな」
「ああ……あいつガチのショタだもんね。あたしも人の事言えないけど。かといってあき君を人身御供に捧げる訳にもいかないし……」
その話をちょっと聞き耳を立てて聞いていたお母さんが、ドカッと立ち上がって僕達に言った。
「みのりがミュウちゃんとあき君連れて、いっしょに息抜きでもして来たら? 我が息子がそんな風にモテるのは母親としても痛しかゆしだけどね。なんなら私もついて行くわ」
成程、それなら健全だ。ミュウちゃんからの性的な接触は防ぐ事が出来る……いや、多少は接触しないとマナの試験になならないのだが、今はまあ、彼女の健康優先でいいか。
そんな訳で、受験勉強も大事だが息抜きも必要という理屈で、みのりお姉ちゃんがミュウちゃんを連れ出して、私と母の合わせて四人でウォーターランドに行く事にした。
それにしても、ここに来て水着回とは……眼福である。姉のみのりちゃんは、均整のとれた胸とお尻をパステルカラーのビキニで包み、元々美少女顔な事もあって、どこぞのティーンズモデルと言っても過言ではあるまい。ミュウちゃんは、正直、顔の造詣ではみのりちゃんに一歩及ばないもののそこそこの美少女であり、何より、胸の大きさは中学生としては反則レベルだ。そして母のゆかりさんは、もちろんまだ四十路前とはいえ、ぱっと見、みのりちゃんと姉妹と言っても通用するレベルで若々しい。当然、この母と姉の水着姿を目の当たりにして、私のマナはキュンキュン増産状態である。
「ああ、みのりサンキュ。おかげてあきひろ君成分、補充しまくりだよ。それであきひろ君ごめんね。うちの馬鹿カツヤがちょっかいだしたんだって?」
「ああ、あれは大丈夫です。カツヤ君のクラスメートの木下さんが仲裁してくれましたんで」
「ああ、その子知ってる。カツヤが惚れてた美少女よね。ほんとあきひろ君は美少女に縁があるのね」
まだ夏休みになったばかりのせいか、レジャーランド自体はそれほど混んではおらず、 プールサイドの一角にレジャーマットを引き、本日の陣地を設営した。一応、簡易パラソルも持って来たので日陰もつくれた。
「それじゃあきひろ君。いっしょに流れるプール行こ」そう言ってミュウちゃんが私の手を引いた。
「みのりも一緒に言って来たら?」お母さんがそう言ったが、みのりちゃんはウォータースライダーをやって来ると言って、一人で列に向かった。
「あれ。あの子、今日はミュウちゃんにあき君貸してあげるつもりかな?」
お母さんが何気にそう言ったが、私もそうかも知れないと思った。ミュウちゃんの水着姿を見るのはもちろん初めてなのだが、確かに、半年前に会った時に比べ、若干痩せてしまっている様に思える。そんな彼女を元気づけたいという気持ちが姉にもあるのかもしれない。
流れるプールで、ビーチボールに掴まりながら、私はミュウちゃんとちょいちょい身体を接触させる。もちろんミュウちゃんは嫌がっていないし、むしろ意識的に私に接触してきている様にも感じられる。だが今日の所は、マナの事より、私の成分をミュウちゃんに補充してやろうと結構なすがままにあちこち触られて、性的に多少興奮はしたものの、やはりマナは沸いてこないか。かといってここでミュウちゃんの乳を揉んだりは出来ないしな。
そんな事を考えていたら、上の方から私を呼ぶ声がした。
ああ。みのりちゃんが、これからウォータースライダーを滑るんだ。スタート地点でこちらに手を振っている。
「あきひろ君。出口のところで待っていようよ」
ミュウちゃんがそう言うので、みのりちゃんが降りてくるのを待ち構えるべく、スライダーの出口に向かった。
「ここのウォータースライダーは結構激しくて、めっちゃ揺さぶられるんだって。後で私達もやろうよ。出来れば一緒にすべろうね」ミュウちゃんがそう言って誘ってくれたが、あの巨乳が揺さぶられたらどうなるんだろうと、ちょっと
やがてキャーーという嬌声とともに、みのりちゃんが上から降ってきた。そしてものすごい水しぶきをあげながら、出口に広がったプールに突入した。
「スプラーッシュ!!」ミュウちゃんが歓声をあげ、みのりちゃんが浮上するのを待った。
そして、ぷかっとみのりちゃんが浮いて来た。
「ぷはっ。あはー最高。たっのしかったー」そう言いながら立ち泳ぎでこちらに手を振るみのりちゃん。だが……。
「あっ、みのり。前っ。前――――っ!」ミュウちゃんが悲鳴をあげ、見るとみのりちゃんのビキニのトップが無くなっている!?
「えっ? きゃーーーーっ!!」胸が丸出しになっている事に、みのりちゃんも気が付いた様で、慌てて両手で胸を隠したが、その際バランスを崩したのか身体ごと水没した。
「みのりっ!?」
「お姉ちゃん?」
しばらく待ったが、みのりちゃんが浮かんでこない。その時、私は無意識のうちにプールに飛び込んでいた。そんなに得意ではないが、駆け出し冒険者の時から一通りの水泳の心得はある。潜水で潜っていくと底の方に沈んでいるみのりちゃんが見えた。パニックを起こしたのか、足でもつったのか。とにかくあわててそこまで泳ぎ着くが、くそっ。私も息が続かない。これでは二重遭難だ……だんだん苦しくなっていくなか必死に考える。
どうする!? 目の前には、みのりちゃんの美しい二つの丘があった。
これだっ! 私は反射的に、姉の胸に顔をうずめる。
キュンキュンキュンキュン……‥
「ブロウッ!!」
私の詠唱と共に、おびただしい泡が回りに発生し、私とみのりちゃんの身体が勢いよく浮上したした。そして駆けつけた監視員さんに無事救助されたのだった。
「ああ。何ともなくてよかったよー。でもあき君もそんなに泳げないのに無茶しちゃだめだよ。監視員さんが助けてくれなかったらどうなっていたか……」お母さんが慌てていたがまあ、心配かけてごめんなさいだな。それにしてもあの時、よく魔法を使う事を思いついたものだ。それでなくとも、母と姉の水着姿でマナが多めに造れていたので、あの時、即応出来たのだと思った。
◇◇◇
そしてその夜。
私と姉は、カーテン一枚ごしで布団に入っていた。今日はプールで色々疲れたな。そんな事を考えていたら姉のみのりちゃんが話し掛けてきた。
「ねえあき君。ちょっといい?」
「何?」
「あの、私がパニくって沈んだ時、あき君。助けに来てくれたでしょ?」
「無茶してごめんね」
「ううん、そうじゃなくてね。あの時、あなた私のおっぱい吸ったでしょ? そしたらいきなり泡が大量に出て来て……あれは何だったの?」
「吸ってないからっ! ただ、ちょっと顔をうずめただけ。キュンキュンって……僕の想いが多分神様に伝わったんだよ」
「……吸ってもよかったのに……でも神様か。そうかもね。あき君が私の事を本当に大事に思ってくれたから奇跡が起こったのかな?」
「うん。ぼくはお姉ちゃんが大好きで大事だよ」
「ありがとあき君。それじゃ、助けてくれたお礼じゃないけど……おっぱいもう一回吸ってみる?」
「だから、吸ってないって!」
一瞬、魔法の事を姉に話してしまおうかとも思ったのだが、思いとどまった。今、あちらに戻る算段持つかないまま、魔法の事を姉に話したら、マナを造るために姉弟の一線を越えようとか言いだしかねない様に思ったからだ。下手するとそのままいっしょにあちらに行くとか言い出しかねない。だから……本当に姉さんの協力が不可欠だと判るまで、魔法の事は秘密にしておこうと思った。
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