第2話

山本桜は女子バスケ部で生徒会。3年間クラスが同じ。


俺と野上と流星、それから山本と横溝はクラスも三年間同じで五人で割と仲良くやっていたが、別に恋愛対象ではなかった。


……はず、なんだけど。


今年の五月頃、俺が指を突き指した時、山本は心配して保健室に来てくれた。



……自分も突き指したフリをして。



その時から、なんてかわいい奴なんだ、と意識するようになった。



っつーか!ぶっちゃけ言うと!

俺のこと、好きなんだと思った!



だって、わざわざ怪我した俺のことを心配して見に来るって、好きじゃない奴にするか?!



「……はぁ」



弁当を食いながら俺は大きくため息をついた。隣で野上が笑っている。



「どーした?」


「……うるせー、ばーか」



俺は山本に告白しようと思っていた。

山本だってきっと友達以上恋人未満みたいな関係、嫌だろ?



お互いに好きって分かってるんだから。

……そう思っていたのだが。



「やっぱ、告るのやめよーかな……」


「はっ?!今更、何言ってんだよ?!

山本だって、お前のこと好きかもしれねーのに!」


「……そう思ってたんだけどなー……」



よく考えれば山本って、誰にでも優しい。

面倒見もすげー良いし。


俺なんかのこと好きになる訳、なくないか?



「山本、取られても知らねーからな」



野上が目をマジにして言ってくる。


「そうやってダラダラしてっと誰かに取られるんだからな」


「……分かってる」



分かってるって、そんなこと。



山本は俺が惚れる程のスタイルの持ち主だし。


大人っぽいし、綺麗だし。それに何より優しい。



きっと、俺なんかよりもっと前から山本のこと、好きな奴、沢山いるんだろうな。


◇◆


放課後、野上と流星と三人で残って作業していると廊下を山本が通り過ぎた。



山本は生徒会だから最近は毎日忙しそうに校内を回っている。


文化祭まであとニ日だもんな。



「伊達、手ぇ、止まってんぞ」


野上に指摘され慌てて色を塗る。

看板が出来れば作業はほぼ終わるらしい。


「なんで俺達がこんなこと男三人でやらなきゃいけねーの?」


「少がねーだろ。

看板係に立候補しちゃったんだから」



文句を言う流星に野上が手を止めずに言う。



「……スズに会いたい」


「だったら早く終わらせるんだな」



そんな二人の会話を横で聞いてる時だった。

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