第2話 暗殺者アリア

 ブラックスパインのボスとその幹部が何者かによって暗殺されてから七日が過ぎた。

 シャドウリッジを裏で牛耳るもう一つのマフィア「レッドホーク」のリーダーであるジョージ・ヴァレンタインは不機嫌であった。

 でっぷりと太った彼はその見た目どおり、好色きわまりない男であった。毎日、女を抱かなければ頭がどうにかなるのではないかと本気で部下たちにおもわれていた。

 ジョージ・ヴァレンタインに比べたら、ヴィクター・クロウなどはまだかわいい物だ。

 そんなジョージが七日も女をだいていないのだ。

 それは異常事態といえた。 

 通常でも狂暴きわまりないジョージであったが、現在では屈強な部下たちにすら手が付けられない状態でだった。


 ヴィクターは完全密室で暗殺された。

 ヴィクタービルの最上階への入り口はたった一つだ。その鉄の扉を開けるにヴィクターの指紋と声紋と網膜が必要だった。すなわちこの扉を開けられるのはヴィクター自身だけだ。そのような鉄壁の守りを誇るヴィクタービルの最上階で彼は無惨に殺された。

 シャドウリッジを牛耳る二つのマフィアのボスが何者かによって殺された。

 次はそのもう一つのマフィアのボスであるジョージ・ヴァレンタインだというのは子供でも想像できることだ。

 犯人が捕まるまで屋敷にいるように幹部たちに説得されたジョージであったが、それはもう我慢の限界であった。

 ジョージは部下の一人に命令して、一人の女を連れてこさせた。


部下が連れてきた女は黒い髪が印象的なとびっきりの美人であった。それにジョージ好みの大きくて豊かな胸をしていた。

 ヴァレンタインの巨乳好きはシャドウリッジでも有名だった。

 髪と同じ黒いドレスを着た若い女を見て、ジョージ・ヴァレンタインは舌なめずりした。七日間たまりにたまったものをどのように発散せせようかと彼の頭は汚れた妄想で満ち足りていた。

「お前の名前は?」

 脂ぎった顔に下品な笑みを浮かべながら、ジョージは戯れに尋ねた。

「私の名前はアリア・ナイトレイドというの」

 耳に心地よい声で絶世の美女は答えた。

 伝説の殺し屋の名前を聞いて、ジョージヴァレンタインは大笑いした。

 武器もなにも持たないこの女があの暗殺者と同じ名前だとはこれは笑える。

 余興としても面白い。

 それではたっぷりと伝説の殺し屋を犯しつくしてやろうではないか。


 ジョージ・ヴァレンタインはアリアと名乗る美女をキングサイズのベッドに寝かせる。いわれるがまま、アリアはベッドに仰向けに寝かされる。

 びりびりとジョージが黒いドレスを破るとそれは見事な裸体が姿をあらわす。

 ジュージ・ヴァレンタインは獣欲を隠さず、アリアの細い肩に手をかける。

 アリアは胸も尻も人一倍大きいのに手足は細くて長い。

 こんな手足の女が暗殺者なはずはない。

 リチャードは確信した。

 さてどのようなスタイルでこの美しい女を汚してやろうか。

 ジョージ・ヴァレンタインがあわただしく下着を脱いだ瞬間、ベレッタを額に突き付けられていた。


 どうしてこの女が銃を持っているのだ?

 疑問が頭をよぎった瞬間、ジョージ・ヴァレンタインの額に銃弾が突き抜けていた。どろりとした脳液と血を額から垂れ流しながら、ジョージヴァレンタインは絶命した。

 騒ぎを聞きつけたジョージ・ヴァレンタインの部下たち数中人が駆けつける。

 おおよそ三十人近くの屈強なマフィアの男たちが裸の美女を取り囲む。

「貴様、ボスを!!」

 怒声が飛び交う。

 

 ベッドから飛び降りたアリアは一糸まとわぬ姿で絨毯の上にたつ。

 アリアは素早く腰を落とす。

 アリアは絨毯に右手を置く。

 ぐにゃりと影に手が沈む。

 アリアは影から、マシンガンを取り出した。

 それは驚愕の光景であった。

 黒服の男たちがわずかな時間、驚愕している間にすべては終わった。

 ぱらぱらぱらとマシンガンから銃弾が発射される。

 アリアの狙いは適格だ。

 マシンガンの銃弾は的確に男たちを葬っていく。

 三分ほどの短い時間の間に無数の死体が作られた。

 アリアは最後の一人の額をバレッタで撃ち抜く。

 自身の影にバレッタとマシンガンを落とす。

 武器はすっと影に吸い込まれた。


「さて、依頼は完了したわ。帰るわよ悪魔サタン

 アリアは自身の影に話しかけた。

 影はぐにゃりと歪み、おぞましい悪魔の形をとった。

 悪魔の口の部分がぐにゃりと歪んだ。それは笑っているように見えた。

 

 

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