第30話 やっとこさっとこ一歩前進(してるようでしてない)。
誰かがこう言った。『チクショーメ!』と。アレはドイツ語の空耳なんだっけか。例によって
総試行回数、
1日当たり12時間、3秒に1回視界内の何かに鑑定を試行し続ける事、4ヶ月弱(サクッと
やっとですよ、鑑定。目の前の生えてる草に~、ポン(鑑定)。
『ヤーワラワ草:食用可。水辺などの水分を多く含む土地に生える植物。柔らかい草質の為、好んで食する種が多数存在する。一応食用可だが、害は無いというだけで決して美味ではない』
ほうほう、コイツ一応喰えるんだってさ。……で、誰が?
試しに「はぐはぐ」と生で喰ってみる。生えてるままのフレッシュな草味。不味くも美味くも無い。人が喰うなら飢え凌ぎの水分補給用かな? そこにある水を飲んだほうが早いけど。
さてはて、ようやっと時は来たれり。湖の水面に映る俺を鑑定ポン。
『ニーグレヴァ湖の水:飲用可。以下の情報は制限により開示不可となっております』
いや違う、そうじゃな~い。そして不穏な説明だなぁオイ。普通に鑑定弾いて説明をカットすりゃ良いものを、これまた敢えてそう表示させてるような。もう一回!
『ニーグレヴァ湖の泥:食用不可。以下の情報は制限により開示不可となっております』
これ、ワザとやってない? 誰が好んで泥喰うんじゃ(ミミズとか以外で)。湖の主(仮)さん俺で遊んでません?? ワンモアタイム!
『ニーグレヴァ湖の微生物(名称未設定):食用可。動物性の
うおおおいっ、そういうヤバいのをここでブッ込まないで! うっかり名付けちゃったらテイムとかすんの? しちゃったりすんの? じゃあ『ニーグ◯イモン』!
――ピピピピッ! ピポンッ!
『名称設定不可:大いなる存在により名称申請は却下されました。もっと穏便な名称にして下さい』
やっぱダメ? ダメか~そうやわな~、ってオイ! 穏便て何すか? いや薄々分かってるけども。だったら『ニーグレピッコイ(ニーグレヴァ湖の小さき者)』でいいよ。ピコい(めっちゃちっこい)って意味ね。
――ピンポーン! ……ピポンッ!
『名称設定認可:大いなる存在により名称申請は認可されました。以降はこの名称がこの生物に適用されます』
……うん? あ、それだけですか。っていうか適当に名付けたのに通っちゃったよ。これで良いんか、異世界?
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