3-2 なんとなく目指せ! 謎の◯◯(あくまで慎重に)。

第28話 わ~ひろーい。すてきぃ~(※かなり白々しげに)。

 

 

「ワーオ、ファンタスティック。ビュリホー」


 ……我ながら酷い凡コメだよ。合成音声フランケンボイスの不自然さ加減が逆に合っちゃってるまである。


 仮想マップの広域探査で『敵じゃないけど何かドデカイもんありますぜ!』というニュアンスの反応があったので向かってみたら、それはそれはそれは広~い湖だった。向こう岸は当然かの如く見えやしね―です。


 山がちで都市部がギュッと密集している国に住んでいたせいなのか、こういうバカでかい規模感の光景を目の当たりにすると急に語彙力が消失しがちになるとです。わんこです。黒柴です。プリティです……(水面に映る自分を眺めて)。


 これはどうしてやろうかしらん。海の幸ならぬ淡水の幸を狙うか、はたまた周辺の動植物調査(主に喰えるか)に励むのか。水中とか水底にお宝があったら尚ヨシ! どうやって行くのかはその時適宜で考えます(所謂いつものやつ)。


 イヤ待てよ、デカ過ぎて誰も到達してないけれど中央に秘島があってとか、そんなんあったら面白そうやん? ていうか、水上を自由に移動したいな~、ハイ、◯◯◯~! 的なのも試してみたい。こちとら、うろ覚え科学技術と紫電エレキがバックに付いてますんで、やろうと思やぁ出来る。てかやるんだよと。


 この辺はいくつかアテがある。現実的なのはプロペラ推進、ウォータージェット推進、ホバークラフト、表面効果翼、等々。


 ちょいと準備に時間は掛かるが異次元ポンポンインベントリ内で素材を加工して物理的にガワを作り、各種推進機構を俺の紫電魔法的構築術エレクトリック・マジカル・ホニャホニャで仮想設置してレッツ・バクシン・ゴーが安心確実である。挟まってるなかてんは省いたらメッ! なんである(某ウマの権利的に)。


 一応、手っ取り早く移動しちゃえる方法も無くはないのですよ。ただ俺の保有ラハが尽きれば即人生終了ジ・エンドも有り得るのがな~。


 ここでその方法とやらを試してみませう。当然、湖大移動はやりません。ちょっとウルサイというか、派手かも?


 キュイィイィイィイィイィイィ……ッ!


 オイラの黒柴わんこボディが湖の畔で紫電を纏い出し、そいつが輪っかのようになったかと思ったら超高速回転を始めましたよ。


 クゥオォオォオォオォオォオォ……ッ!


 その輪っかが厚みを増し、回転に合わせて上下がトンガッて上から空気が吸われ始めます。すると上のトンガリが圧縮されて平べったくなり、円錐状になった下のトンガリから噴流ジェットが吐き出され――


 ゴォオォオォオォオォオォオォ……ッ!



 最早紫電まみれのプチ竜巻みたいになって姿の見えなくなった俺は、徐々に上空へ。もうアゲアゲでございますのよ~、オホホホ。

 

 

 

 

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