第18話 これは紙切れのようなものだ。攻撃されたらすべてを失う...... (※機械翻訳)。

 

 

『Tämä on kuin paperimassan pala. Jos kimppuumme hyökätään, menetämme kaiken...』


 ……う~ん、普通に聞いただけだと分からん!


 適当な方向へ『でっかくなっちゃったお耳』モードで進んでいると、唐突に言語らしきものが謎電波(思念波?)としてキャッチされましたぞい。


 それまでにも雑音とかビープ音とか電子楽器テ◯ミンみたいな、波形では有るんだけれど感情の振れ幅程度の意味合いしか無いようなレベルのやつはちょこちょこ届いてたんですがね。


 今回のは明確に言語だわ。何言ってるかは聞いても分からんが。


 一応受信したサンプルは全て『異次元ポンポン』こと謎次元空間収納の『ろくおん!(録音)』フォルダにデータファイルとしてしてあります。そう、格納―― つまりは『◯◯を保存』だ。実在のモノ以外をできちゃったんである。


 フォルダ管理をしている時点でこの収納リストインベントリは俺の世界観というか意識が反映されている。フォルダを作ってファイルを保存・管理出来るのなら、ファイルの新規作成や複製コピーも可能であると。


 そりゃ試しちゃうよね、取り込んだ品物の大量複製カーボンコピーを。


 で、現実はそう甘くは無かった。幾ら魔法的マジカルな世界であろうとゼロからイチは生み出せないようで。それを許したら何かしらのバランスが狂っちゃうしな。


 試しに保有量の少ない草原産の香辛料もどき(◯◯の代用品と出ていた)を増やしてみようとする。


 ここでは香辛料として使える部分ではなく草全体、1株を指定してコピーを選択。すると、


『コピーを実行しますか?:この作業の実行には323ラハを使用します。』


 ……そこはマナとかちゃうんかい。運営あちらさん、妙にヒネって来たよ。


 やっとこの謎エネルギーがラハという名前なのが判明したよコンチクショウ。ステータスはまだ出せないから不明だったんだわ。


 ここで素直にコピーを実行……するのはちと怖い。現在の俺の保有可能ラハがどのぐらいかが分からんからね。


 そこでこの植物から分解、というか分離した1株分の香辛料もどきで試す。


『コピーを実行しますか?:この作業の実行には36ラハを使用します。』


 ほうほう。これで分かるのはそのモノを構成しているラハと同等量を用いて同じ状態(実体)を再現しているのであろう、という事。いわゆる等価交換方式だな。


 そのへんに生えてる野草たった1株をコピーすんのに323ラハ。じゃああの羽毛付き翼竜ミレモノス丸ごとだったら?


『コピーを実行しますか?:この作業の実行には38億6392万8337ラハの使用と、処理に相当数の時間を要求します。』


 ほら出たよ、あんな価値の低そうなヤツでもバカみたいなラハと膨大な処理時間(※必要なラハを周囲から取り込める限界速度リミットスピードの関係だろう)を持ってかれるでやんの。つまりはレア素材をコピーしまくってウハウハ荒稼ぎムーブは実質不可能ってこった。



 ちなみにこのコピー機能が開放されたのが、声になってないような雑音やビープ音のような傍受サンプルデータを資料としてファイル生成し保存した後。自分で何かを生み出して記録しておくっていうアクションが必要だったんだろうかね?

 

 

 

 

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