第15話 そして俺の思考は巡りに巡る(ちょいとナイーブ)。

 

 

 余計な邪魔は入ったが、それでも足は前に進んでいる。というか何処へ向かったら良さげなんだか、誰か教えてくれませんかね?


 海辺の崖から旅立って相手をする数もそうだが種類も随分と増えた。様々な能力も成長を見せている。


 先程の翼竜トリ戦では考え事をしながら適当に狙い撃って寸分の狂い無く命中させていたように、複数の物事を同時に処理する並列処理マルチタスクが平然と出来るようになってきた。現に3秒に1回視界内の何かに鑑定を試行する自動化ループ作業を裏側バックグラウンドで実行中だ。


 黒柴わんこな俺のもふもふした腹側で展開する『異次元ポンポン』こと謎次元空間収納は、熟練度とかレベルの上昇(詳細不明)によって遠隔での作動範囲が半径5mから半径35mぐらいまでに拡大した。なのでズシャッと滑っていった羽毛付き翼竜ミレモノスはギリで収納可の範囲内でした。


 収納リスト内での作業はフォルダ管理機能の実装で仕分けが楽になった。初期はずら~っと縮小画像サムネイルのアイコンが並んでたからなぁ。


 収納容量は……業者の倉庫ぐらい? 順調に規模が拡大してるのか不足は感じない。時間経過は限りなく遅延してる模様。まあ年単位で腐らない貯蔵庫だと思いねえ。


 取り込めるモノの範囲はいい加減。一部生き物も入るっちゃ入る。倒したヤツの卵とか、植物だって生きてるだろうが一応入る。空間内の環境ってどうなってんのかね?


 試しに草原を1m四方の立方体ブロックで指定したらそのまんま切り取れた。中に居る無数の生物はそのまま。品目は『草原(地下含む)』という特殊フォルダ。その中にファイルとして個別のモノがずらっと並ぶ形式。こうした融通を利かせる為の時間経過・超遅延だと思われる(後でちゃんと元に戻しました)。


 これは実質、という事。つまりは空間断……これ以上は言うまい。


 恐らく能力の優劣や世界システムの制約で切り取り不可な状況も出てくるだろうが、よっぽどのヤバい事態にでもならなければこの手は使わない。つもりだ。絶対と言える自信は無い。



 そこはね、そん時にならなきゃ分からんよ。意地汚く生き延びたいとまで思える何かを、俺は今の所手にはしていないと思うから。

 

 

 

 

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