第11話 人ではないと地味に困る事2(思ったよりサクッとは解決しない)。

 

 

 やっぱり何でも地道にやってみるもんですわ。こんなん出来ちゃいました。あそーれ。


 ……すぽっ!(効果音)


 ここ10日の間は只々ひたすらにワラワラ湧いて出てくるゴムボールスライム(仮)共を色んなパターンでブッ倒し、幾つか原形を留めたままにしては『俺のポッケに収納しろ〜収納しろ〜』と念じながら時折一部をはぐはぐ喰っていた。


 当然ながらそう簡単に目標をクリアされても困るのか何十回何百回も失敗ファンブルし続けたのだが、つい先程333回目の試行(仮想マップにカウント機能を追加しておいた)で遂にその妄想が現実化したのである。


 名付けて『異次元ポンポン』〜。ここ、とびっきりのヘンテコボイスでお願いします。


 丁度俺の黒柴わんこなもふもふの腹回り、そう青いアイツの白い腹辺りに付いていたポケット的なやつと同じ位置に謎次元空間が展開し、シュルシュルっとゴムゴムゼラチンボール(訳ありつぶれ商品状態)が呑み込まれていったのである。


 四足歩行なので自分の手で異空間へ放り込むという動作が出来ない代わりに入って欲しい物を指定すれば吸い込まれ(もしくはその場で消える)、取り出す時は仮想マップ内に統合されたインベントリ・メニューで確認、指定の場所へ出現させられる。


 現時点では半径5mぐらいの至近距離でしか反応しない。試しに複数同時取り込みをやってみたらその範囲内で動作したのだ。


 恐らくざっくりと指示しても対応してくれるだろう。なんせ俺にはエーアイだからな。


 収納容量や時間経過とかも気になるが、ソッコーで確認すべきは――


「わふぅ…… (なーる。そう来ましたか)」


 そう、メニュー内での表記だ。あのゴムボールスライム(仮)はどう書いてあったかというと。


『名称未設定:名称を入力して下さい』


 取り込み時の縮小画像サムネイルと名前が表示されており、見事に名称未設定がずら~っと並んでいた。ついに正式名が分かるかと思ったが、そう甘くはないらしい。


 所詮俺はヨソ者だからな。この世界との繋がりが無い以上、情報も取得不可状態オフラインなんだろう。


 だったらやる事は単純だ。この世界の知識として接続し、情報を取得してやれば良い。



 一体どうやって? そんなもん決まってる。紫電による魔法的マジカル電波でお伺いを立てて、するんですよ。

 

 

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る