1-2 薄々理解(わか)っちゃいましたが。
第4話 色々と考えなしなのは自覚した上で。
相当体力を消耗してるのと、攻撃した時に噛み付いた後も体調の変化は無かったんで、結局陽の沈みゆく崖下の足場で仕留めたゴムボールスライム(仮)を喰う事にした。
海水でふやけてゲル状になった謎物体は、ちょいと水っぽいクラゲみたいな味だった。仄かな塩味があるせいで喰いやすいまである。
これまた定番ネタであろう『喰ったらその魔物の能力を獲得』とか『喰えば喰うほどパワーアップ』みたいな感じは今の所無い。
倒せば経験値が入るとかのRPG要素もステータスが見られないから分からず。そもそも犬っころだから『ステータス』って喋れんし。
まだ陽の高い時間帯にちょっとした浅瀬を見つけて俺の姿を確認したら、それはそれはお見事な黒柴だった。我ながら非常にプリティなシバわんこである。
正解じゃない事を祈るが、名字が
腹もある程度は膨れたので波の打ち付ける崖下の足場からはとっととオサラバだ。まだ崖の上へと登れる程に元気では無いが、横移動をして身体を休める場所を探すぐらいは出来る。
周囲を見回しながらボチボチと歩けば少し高い場所にいい感じの窪みを発見した。あそこならば潮位が上がったり外敵が接近してもある程度は問題無いだろう。
この世界に潮の満ち引きがあるのかは知らん。地球の物理法則が通用するのかすらも不明だ。普通の人間が黒柴になるなんざ悪夢が起こり得る世界線で、一体何を信用しろと?
……こんな状況で冷静になれるほうがどうかしてるが、流石に落ち着いて考えるべきだな。
犬の身には少し大変だったが、例の窪みに登って気持ちを落ち着ける。懸念された先客も居ないようだ。
日はすっかり落ちて見覚えのない星空が輝き始めている。月、というかそれっぽい衛星は……今の時点では見当たらない。
犬だから暗くてもよく見える、とは少し違うような感覚。意識すれば昼間のようにも明るく認識出来たり、遥か遠くの物体にも瞬時に
薄々
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