第3話 経過がどうあれ、生きてりゃどうとでもなる。

 

 

 …………ああ、うん。何とか生きてんな、俺。


 あの後結構どころでは無くヤバかったし、98%ぐらいは運任せだったんだが。


 どうせ失敗した所で人知れず死ぬんだし、もういいやと思って清水きよみずの舞台から飛び降りる勢いで―― 目の前の崖から海に向かって飛び降りました。一体のゴムボールスライム(仮)を道連れに。


 あんな見た事も無いような奇怪生物が地球にいたら怖いだろと、此処ここがどっかしらの異世界か他惑星だと仮定したとして。


 硬い岩場を平気で跳ね回る生物スライムの頑丈さを見るに、犬かオオカミっぽい何かになっている俺も思った以上に丈夫に出来てるか、もしくはワンチャン魔物的なサムシングパワーで落下の衝撃をどうにかできるんじゃねーかと。


 崖下の海がどうなってるのかをロクに確認させてもらえなかったんで、万が一の保険で崖先にまでゴムボール野郎を引っ張ってきて飛び込んで来たやつを全身でキャッチ。


 その弾丸みたいな勢いも利用して可能な限り沖側へ放り出されつつ、空中で俺から逃げようと慌ててぶわっ! と薄く広がったスライムをそんな形にもなれるんかいと足の爪で引っ掛けて(厚みが薄いのと空気抵抗で押されるのか掴めた)。


 その形状で藻掻もがく風呂敷ともつれるように迫る海面だか岩場へと落下。残念ながら都合良く忍者とかムササビみたいには滑空せず。


 ざばーんっ! と見事海中へと飛び込み成功。真下は運良く抉れていたらしい。


 そこからは一旦ゴムボール野郎改め風呂敷野郎は忘れて崖下の際まで犬掻きしながら何とか漂着。


 ちょっとした足場へ上がって、崖上からの再襲撃を警戒しつつさっきの風呂敷野郎が復活しないかも要チェック。


 風呂敷野郎は海上で再びゴムボール野郎に戻った後はプカプカ浮きながら俺の近くへと接近してくるも気持ち元気が無い様子。


 海水を吸ったのかクラゲみたいにぶよぶよしたそいつを引き上げて、元気になられる前に噛み付きや引っ掻き攻撃でジ・エンド。陸生なのか海は苦手らしい。そら慌てるわな。



 そうこうする内に陽もすっかり落ちてきた。体力が回復するか分からんので最悪ゴムボールスライム(仮)を喰おうかと思ってたんだが……コレ、そもそも食用可なんかね?

 

 

 

 

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