お題:黒船・ハリウッド・デスゲーム

「俺さ、ハリウッドでデスゲーム撮りたいんだよね」

「……は?」



 ある日の帰り道、クラスメートの言葉に驚く。コイツはいつもこんな感じだ。突拍子もない事を言っては周りを巻き込み、とんでもない出来事を引き起こすいわゆるトラブルメーカーなのだ。



「まあ色々言いたい事はあるけど、なんで映画撮りたいと思ったんだ?」

「映画はロマンだろ? 秋の味覚だしさ!」

「それはマロンだろ……というか、資金とかどうするんだ? スタッフとか色々あるだろ?」

「ん、スタッフならもういるだろ」

「え?」



 その言葉にまた驚くと、クラスメートはニタリと笑いながら俺を指差してきた。



「お・ま・え♪」

「やらないぞ」

「えー、いいのかなあ?」

「なんでだよ」



 クラスメートはニヤリと笑ってから耳打ちをしてきた。



「“巨大な黒船来航! ブロンドお姉さまは大砲がお好き”」

「なっ……そ、それは……!」

「協力、するよな?」

「……するよ」



 俺は諦めながら答えた。それを言われたら協力せざるを得ない。



「よっしゃ、きーまり! そしたらデスゲームの内容から詰めていって、文化祭でまずはプロトタイプから発表していくぞ!」

「ああ……」



 けれど、そううまくはいかないだろう。そんな事を考えながら俺は肩を落として歩いた。ただその考えが甘く、このクラスメートの行動が様々な人間の人生を大きく変えていく事を俺はまだ知らなかった。

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三題咄 九戸政景@ @2012712

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