第6話 あたたかい部屋

収納スペースは、1.2階合わせて16個ある内の約半分ほどが埋まっていた。今までどうしていたのか疑問に思ったが、まあそんなに不便なことも無いのだろう。実際僕も今までよりも快適に過ごせている。しばらくはより静かな暮らしになるのだろうと思いながら新たな寝床で眠りに落ちる。






「わあ、ひっろーい!」

ここにしてラッキーだったな。私は拳を握り小さくガッツポーズをした。先月まで、仲が良い女子4人でルームシェアをして暮らしていた。しかしその内の1人が彼氏を連れ込んだことから、私以外の2人が怒ってしまい、居づらくなった私はその家を出た。だけど、まだ大学3年生の私にお金はあまりない。たまたま通りかかった不動産屋さんでたまたま見つけた物件がここだったのだ。


広さも安さも申し分ない。だけど私には、引っ越すにあたり少しだけ不安があった。私は独りが嫌いなのだ。だから仲の良い友達を誘ってルームシェアをしていた。独りは嫌い、だけど人付き合いも嫌い。矛盾してるみたいだけど、同じような人には分かってもらえると思う。

でもこの家は、不思議と「独りきり」と感じない。テレビもなく、まだ引っ越した段ボールが並んでいるだけだけど、なんだかとても居心地がいい。

「本当にいい家だなー。引っ越してきて良かった!」



僕は目のすぐ上に広がる天井を見ながら、心の中で新しい仲間を歓迎する拍手を鳴らした。

「また少し、あたたかくなるな」

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あたたかい部屋 @pyriteyellow

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