弟とは好みが何もかも正反対。体の弱い弟は、王子様のように愛されて、「わたし」は寂しさを抱きつつも彼を守る使命に誇らしさを感じていた。母親の「大人になったら自立すること」という指針のもと、社会へ旅立つようになった「わたし」だが……一人でいることの寄りべのなさと、そこにあるちょっとしたぜいたくのお話。自立とは一人でなんでもすることではなく、ちょっとずつ誰かを頼ること。どうか「わたし」が少しでも楽になれますように。
幼い頃から、正反対に見える弟さんとの関係。でも、決して仲が悪い訳じゃない家族3人の暮らしでしたね。大人になり、仕事では上手く行かない自分の姿と日常。家には帰れない心配をかけたくないという苦しい気持ちは、その時を想い、思わず私の中で共鳴してしまいました。弟さんやお母さんは、今どうしているんだろうと、気になって仕方がありません。切ないお話です。でも、骨せんべいが家族を繋いでいる様な気がします。弟さんとお母さんの近況と繋がりをとても読みたいです。私も骨せんべいを摘まみながら、グラスを傾けて涙してしまうかもしれません。
お題で執筆!! 短編創作フェスのお題「骨」はホラーやミステリで勝負しやすそうですが、こちらの作品は作者さまの実体験が含まれる現代ドラマとなっております。食べ物の好みがバラバラな家族を繋いでくれた骨せんべい。大人になって分かる味わいにグッと来ます。ほっこりする話の後は、作者さまのほかの作品にも足を運んでみてはいかがでしょうか。素晴らしい短編を書かれている方の長編も、大変良いものが揃っていますよ。
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