第5話

あぁ、はやく帰りたい…。


次こそは王様になりますように!


そう願いながら、あたしはコップを持って部屋の扉をあけた。



……けど、思いっきり扉を閉めた。



な、なんで!?

なんでいるの!?



ドアノブを握りながらグルグルと考える。



冷や汗がダラダラ…。



やばい、やばいぞ!


あたし、大ピンチ!!!




「由奈~?どうかした?」


扉を閉めたあたしにモカちゃんは首を傾げる。



だけど、あたしはモカちゃんの質問に答えられる余裕なんてない。



「う、わ…っ」


急に扉が開きそうになった。


あたしは慌てておさえる。


廊下側から扉を開けようとしている人がいるから。


その人の顔は扉の真ん中に縦に細長くあるガラスごしにバッチリみえている。



もちろん、彼は面白いものをみたって顔。



「ちょ、やだ!!!!」


負けそうになるあたしは全体重を使って、彼を阻止しようとする…けど。


全く意味なかったらしく、扉はすんなり開いてしまった。



……男の力には勝てない。



「なぁにやってんの?」



しかも、なんでよりにもよって…この男なんだろう。


彼はあたしを上から見下ろしていて。



しかも、笑顔。



「え、えっ!?」


「ま、まさか…あの人って!」


彼が部屋に入ってきた瞬間、モカちゃんたちはザワつきはじめる。



「も、もしかして…紅葉の孝さんですか!?」


モカちゃんの、ソプラノの声。


あたしの前に立つ男はやっぱり笑顔で、


「どうも。」


そう、答えた。



その瞬間、モカちゃんとサユちゃんは黄色い声をあげた。


3人の男たちは…呆然。


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