第15話

 それから乗り換えてまた電車に揺られ、家の最寄で降りる。


 スマホに、加賀野からのメッセージが数件。私が返信しないから、諦めてもう送ってこないと思う。


 私なんか放っておけばいいのに。怒って、最低だってみんなに言い回って、私の居場所を無くしてほしい。私を傷つけて、私の心を壊してほしい。せめてもう誰にも触れられないように、壊してほしい。


 そういえば朝はここで待ち合わせたなって感傷に浸る。朝も、時間が合えば同じ電車で学校に向かう。


 それももう無くなる。


 取り返しのつかないことをした。


 でも、もういらない。


 いつかは無くなってしまうから。


 いずれ傷つくから。


 それなら最初からいらない。


 傷つくなら早いうちに。


 一人でも大丈夫だから。


 なにも変わらない。


 でも、それなら――。


「気持ち、伝えればよかった……」


 わたしの全てを、受け入れてくれるのなら。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る