第20話
「その人は……」
「知ってるのか」
私はライの質問には答えず、いつもより速いスピードでスマホを打つ。
差出人は”皐月”。
ライのいった内容を説明し、送信すると、数秒後には”了解しましたっす”との返事が来る。
「……、イオ。李織!」
ライに名前を呼ばれ、私ははっと我に返る。
「知ってるのか。そいつのこと」
ライの言葉に静かに頷く。
「
「なんで執事がお前の情報を手に入れたがるんだよ」
そう、それは最も謎なことだった。あいつが家に来て、咲蘭の専属になる前から渡すのことを値踏みするような顔で見てきていた記憶はある。正直、あの目で見られた当初は悪寒が走り、あいつと生活時間をずらしていたほどだ。
私自身、草部は気味が悪くて関わりたくないと思っているし、思い返しても、草部となにか関わった記憶すら無いほどである。
「草部は咲蘭一筋ですからね。幼い頃も咲蘭が病気になって看病しに行こうとすれば草部がすごい目で睨んできたのを今でも覚えてます。それに……」
「それに?」
「……、いえ。なんでもありません」
──あのなにか探るような目はどこかで見たことがあるんです。
その言葉はそっと自身の胸に秘め、訝しげにみるライのことはごまかし、他の生徒たちが教室に入ってくる間、私は咲蘭と草部のことについてずっと考えていた。
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