第19話
『おはよう!』
『おはよう。今日の小テストさ…』
いつもどおり校門で車を降りて歩き、5組に入ると。
「おはよう、イオ」
「おはようございます。ライ」
ライはもう学校に来ていて、何やら真剣な顔つきでスマホをみていた。
「いつもぎりぎりに来るのに珍しいですね」
「俺だってこういう日はあるんだよ」
ライは少しすねたようにしていう。
「あれからなにかあったのか」
「べつに何も」
「そうか」
ライはなにか言いたそうだったが、ぐっと言葉をこらえ、私を少し怪訝そうな顔でみて空をみる。あぁ、本当に嫌な天気だ。この空を見てるとイライラする。
「そっちこそ、何かあったんですか」
私がいえば、諦めたような笑い声を小さくあげてスマホを触る。
「最近さ、なんかこっちを探ってきてる奴がいるんだよね」
「どういうことですか」
ライの言葉に私の声に少し緊張が走る。
「イオ、お前は俺と、俺の家と関わりを持ってるから、裏のやつとか変なのに探られないようにお前の情報は名前とか基本情報以外は俺の家が守ってるってのは知ってるよな」
「はい」
その話は昔、美來ちゃんにされたことがあることを私は思い出す。
「最近、特にイオが生徒会と接触して以来、何かとお前の情報を探ろうとしてくる奴がいるらしくてな…。
秋さんとは、久隆家の情報管理を行っており、私とも面識がある。私の印象としては、”なにかとくえない奴”である。できれば関わりたくないと本気で願ってる1人だ。まぁそれは仕事だけに限るが。
「そのことで
「秀兄ですか」
秀とは、幼い頃、私を久隆家のパーティーに連れて行ったメガネの優しい人で、何かと人脈を持つ、”眼鏡のお兄さん”である。
「イオの情報を探ってるのは2人だという結論に至った」
ビッとライは指を2本立てていう。
「2人……」
「そう。1人は、この学校の生徒会副会長。アイツは何かと調べたがるからな……。今まで接触してこなかったのにこの前咲蘭のことだとしても生徒会に来たから興味本位で調べてんだろってか感じだな。調べ方もそんなに本気じゃない。……だが」
急にライの周りの空気が張り詰めたような状態になり、私も顔は見えないが、自然と真剣な雰囲気にのまれる。
「もうひとりはマジでやばい。何回も何回も検索かけてきて、あの手この手で探ろうとしてる」
「誰、なんですか」
「それは……」
ライは私の耳元でその名をささやく。その名前を聞いた途端、私は気管が急に狭くなった感覚に陥り、ヒュッと息を呑む。
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