第12話
昼休み。
通称”終わりの5組”の昼休みは他のクラスでは優雅に食堂や教室で食事やティータイムを楽しんでいる時間とは違い、昼休みは購買で買って食べたり、クラスメートと運動したりと個人個人が自由に過ごしている。
その中で、私は1人で豪華な食材が入った弁当を食べていた。
「今日はやけに人気者だな、イオ」
「……うるさいですよ。ライ」
「お、これうまそう、……ん、うまいじゃん」
「はぁ……」
そんな私に話しかけてくるのは、同じ5組の
六道家との直接的な関わりはないが、私本人とは久隆家自体が幼馴染のような関係にある。
久隆家は花道を代々行っており、”何故か”裏の職業の人ともつながりのある、この学校では危ない家柄である。しかし、久隆家と関わる裏の職業の人たちは、顔に傷があったり、人相が怖かったり、中には背中や腕にみたことのないような大きな絵を書いている人もいるが、みんないい人たちばかりで、久隆家と仲の良い人に何かあれば結束して助けに来るような人たちの集まりだ。
そんなライは私の弁当からおかずを取っては”うまい”といってまた食べるを繰り返している。
「はぁ、うまかった。……で?何があったんだよ」
「何って、別に何も」
「なにもない、ってことはないよな」
ライに先手を取られ、私は深いため息をつく。ライのそういう妙に勘が鋭いところは色んな意味で本当にやっかいだ。
「昨日。咲蘭が風邪で休んだんですよ」
「あぁ、そういやそんなこと他のクラスの奴が話してるの聞いたな。人1人が休むってだけなのに大事件のように扱うよな」
ライは私の前の席に、椅子の背もたれが前になるようにして座り、呆れた顔で言う。
「そして咲蘭から頼まれたものを生徒会に持っていったんです」
「……あぁ、そういうこと」
ライはふぅん、と言いながら購買に売ってあるライの好物であるいちごみるくを飲む。
「……で?どうだった」
「別に、どうといったことはないですよ。ただ……」
「ただ?」
私はふと昨日の生徒会、特に御堂とした最後の会話を思い出す。今でも私は御堂の自分を毛嫌いするような顔が忘れられない。
「咲蘭のことがものすごい好きなようでしたよ。私のことは毛嫌いしてましたし」
私はヘラリ、とした作り笑いをライに向ける。
「イオ」
「なんでしょう」
「その顔、やめろって言ったろ」
ライは私の頬をギュッと掴む。──痛いし……乙女の頬になんてことすんだ。
「顔は見えないじゃないですか」
「……、とにかく!その笑顔はやめろ」
「……、わかりました」
渋々、といった形で答えた私にライは満足そうな顔で私の頬から手を離す。
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