3.噂になる

第8話

翌日。



「李織様、おはようございますっす」


「おはよう。皐月」



朝、7時の目覚ましを止めると約5分後に私の専属執事の皐月が入ってくる。皐月の朝から元気いっぱいな皐月を見ると、どうも一生眠りたくなるのが私のいつもの朝である。



「李織様、今日は朝ごはんどうしますか?」


「ん~、食べようかな」



私の態度は高校の時とは全く違い、眼鏡は外し、口調も砕けている。何を隠そうこれが本来の私である。



「了解っす。伝えてきますね。あ、これは今日の分っす」



皐月は私に小さな巾着袋を手渡すと小さく頭を下げて部屋を出ていく。


皐月を見送った私は髪を整え、眼鏡は忘れず学校に行く準備をしてダイニングに行くと、すでに咲蘭は席について朝食を食べていた。



「おはよう李織」


「おはようございます。咲蘭。風邪はもう大丈夫ですか?」


「うん、もう大丈夫!手紙は渡してくれた?」



咲蘭は花が咲くような笑顔で答える。こんな咲蘭に嫌がらせするはず無いのに。我ながらシスコンではないかと思うときはあるが。私はそう思いながら朝食に手を付ける。うん。今日のご飯もおいしい。なんて思いながら私はご飯を食べ、手紙のことを思い出す。



「きちんと渡しましたよ」


「ありがとう!」


「今日は病み上がりですから無理しないようにしてくださいね」


「大丈夫だよ。今日は草部さんと話して放課後は生徒会の仕事せずに帰る予定だから」


「学校でも無理しないようにしてくださいね」


「わかってるよ。じゃあ先に行くね」


「はい。行ってらっしゃい」

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