第3話新天地の決意
荒野の生活に馴染み始めたルカ・エルサルは、エリザたちの過去や現状を深く知るにつれて、彼らの絶望と希望に触れるようになった。故郷を追われ、隣国エルサルヴィルでも迫害を受けた彼らは、新天地を求めてリバディア大陸に辿り着いたが、この地でも支配を目論む部族や勢力に苦しめられていた。
ある日、エリザが集落の奥から一丁の古びたリボルバーをルカに渡す。
「これは……?」
「エルサル・リボルバーよ。かつて私たちの祖国、エルサルヴィルで使われていた武器の一つ。迫害され、この地へ逃れるときに、唯一持ち出せたものなの。」
リボルバーには美しい彫刻が施され、部族の紋様や故郷の伝説が刻まれていた。それは単なる武器ではなく、サバサエルの民の誇りと歴史そのものを象徴するものだった。
「この銃は、私たちの先祖が築いた知恵と力の結晶。だが、私たちは様々な故郷を奪われた。そしてこの地でも、周りの部族たちに圧迫されている。これ以上、ただ逃げるわけにはいかない。」
エリザの瞳には、静かな怒りと強い決意が宿っていた。彼女の言葉を聞いたルカもまた、自分の無力さを痛感する。そして、彼女たちの苦しみに心を動かされたルカは、自分の力を彼らのために使うことを決意する。
また、エリザは、荒野の集団を率いるカリスマ性だけでなく、強力な魔法の使い手でもあった。彼女が操るのは、エルサルヴィルの民が独自に発展させた「古代魔法」――元素を操る力だった。
エリザはルカに自分の魔法を見せた。彼女が手をかざすと、空気が震え、突然、手のひらから青白い炎が現れた。その光は周囲を淡く照らし、暖かい風が吹き抜けた。
「……すごい、本物の魔法なのか?」
「ええ。ただ、魔法は私たちの民が誇る技術だったけれど、それがワーティ帝国に狙われる理由にもなった。知恵と魔法を恐れた帝国が、私たちを滅ぼそうとしたのよ。」
エリザの力は、彼らが生き延びるための大きな武器だったが、魔法を使うたびに体力を消耗するリスクも伴っていた。そのため、彼女は必要な時しか使わず、普段は銃の腕前で戦いを補っていた。
「ルカ、エルサル・リボルバーは単なる銃じゃない。この武器には、私たちの民の魔法を増幅させる仕組みが隠されているわ。」
「魔法と……銃が?」
「そう。エルサル・リボルバーは、使う者の意志と力に応じて魔力を引き出す。この力を使いこなせば、きっと新天地を切り拓けるはずよ。」
「分かった。やってみる。」
「……いい覚悟ね。でも覚えておきなさい。この道は、血に染まる覚悟が必要だってことを。」
そして俺は戦いに備えて寝ることにしたのだった。
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