第198話 最後の調査へ
マルトは四つん這いの状態で進み続け、なんとかエリア4をクリアした。
戦いはほぼミリエル任せで、トラップのほとんどを正面から受けることになって、なかなかお疲れの様子だ。
回避できたトラップは落とし穴くらいである。
マルトの大きさじゃ、穴に入らなかったんだよな。穴に手を突っ込んじゃって、つんのめって顎を地面に打ちつけるっていうハプニングはあったけど。
ちなみに、その姿を見たミリエルは爆笑してた。
顎をぶつけた拍子に舌を噛んでいたマルトが、色んな意味で涙目になっていて憐れだったよ……。
なにはともあれ。
その後チュートリアルエリア5・6をクリアしたミリエルとマルトは今、冒険者ギルドに報告する内容を話し合いながら最後の施設に向かっている。
二人の会話を聞く限り、訓練所は『初心者育成の際に非常に有用』という評価でまとまりそうだ。
めちゃくちゃホッとした!
俺が何か新しいことをすると、難易度調整が下手だったり、思いがけない騒ぎが起きちゃったり、問題が生じることが多かったからさぁ……。
[残すは『エクストラエリア』ね]
[んーと……ランダムで出現する強敵と戦い、自分の限界を試す場所、か……]
エクストラエリア入口に掲げている説明文を読んで、マルトが目を輝かせ、口元に笑みを浮かべる。
チュートリアルエリアでは散々弱い敵を相手にしてきたし、制限トラップで面倒くさい状態にされていたから、ストレスが溜まっているのかも。
[強敵ねぇ……敵の強さの上限がどれくらいか調査する必要があるかしら?]
[さすがにそれは、ギルドがここの利用者からの情報を集める程度でいいだろ。ランダムの範囲が、ほぼ無限大の可能性もあるんだし]
[それはそうね。どんな魔物が出てきたかだけ報告して、ギルドを納得させましょう]
調査内容をまとめた二人は、躊躇なくエクストラエリアに足を踏み入れる。
どんな敵が出てくるのか、俺も楽しみだ。
『
『
リルとミーシャがワクワクとした感じでモニターを眺めてる。
ミーシャは控えめなコメントをしてるけど、
環境的有利な状況だったとはいえ、歩夢の仲間であるリーエンやドロンと戦えてたんだし。
『
いつの間にやら近づいてきていたインクが、
インクの腕の中だけじゃなくて、頭や肩の上にも
……
ウサギをモチーフにした魔物なだけあって、
『マスター、ここにはボクたちもでることがあるの〜?』
「あるぞー。ランダムだから、実際に出るかはわからないけどな」
あぐらをかいて座る俺の膝に手を乗せて問いかけてきた
抱きしめるとふわふわで暖かい。あー、癒されるー。
『えへ〜♪』
『……ずるい〜』
『ボクも〜!』
俺の腕の中で嬉しそうにする
あっという間に俺を中心にした
ちゃんと配慮してくれてるのか、俺も苦しくなく暖かいだけだから、このままもふもふに囲まれる幸せを享受しよう。
『
『インクのくせに、ぜいたくもの〜』
ジトッとした目で呟いたインクの言葉は、
『あ、見て見て! おっきな魔物が出てきたよ!』
『これ、初めて見たにゃあ。ちょっとエンドに似てるかもにゃ?』
リルとミーシャが楽しげに言うのを聞いて、俺もモニターに視線を向ける。
エンドに似た大きな魔物? それってドラゴン系では……?
いきなりそんな大物が現れたのか、と少し戦々恐々としたけど、事実はちょっと違った。
「……鳥?」
マグマが流れ、岩がゴロゴロとある広い空間に、巨大な赤色の鳥が滞空していた。
それと向き合うミリエルとマルトは、これまでの緩い雰囲気を消して真剣な表情である。
これは【環境:火山の底(マグマあり)】が選択されたな。
高温環境だから、人間はここにいるだけで体力を消耗するはず。マグマに落ちたら一発退場だ。
環境は魔物に適したものが選択されるから、この魔物は火属性なんだろう。
とりあえず鑑定しよう。
——————
種族名:
レベル:40
能力:
——————
能力の詳細は調べてないけど、字面だけでめちゃくちゃ強そうだと感じる。
鳳凰だし、レベル40だぞ? 強くないわけないよな。
「
遠い目をしながら呟く。
これのせいで訓練所が危険視されたらヤダなー、と現実逃避しながら考えていると、ミーシャがテシテシと肩を叩いてきた。
『この魔物が強いのはわかるけど、ミリエルたちはどんな感じにゃ?』
「あ、そういや調べてなかったな」
尋ねられて、慌てて二人の情報を確認する。
その結果、ミリエルが魔法全般を使えて、マルトが剣術の使い手というのは予想通りだったのだが──
「……二人ともレベル41かよ!? 勇者ほどじゃなくても、高すぎだろ! さすがA級冒険者……」
驚愕の事実を知って、呆然とする。
これ、もしかして、わりといい勝負になるかも……?
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