第4話町でカナに会う
森を抜け開けたところに出るとその先に町が見えた。町に着くとアナンが
「ここらで何か食べないか?」と言った。
優二も「どこでもいいから店に入ろう。」と言った時、
女が「助けて追われている。」と優二の陰に隠れた。優二は
「どうした?」と訊くと女は来た方を指さした。そこにはこちらに向かてる男たちがいた。女は「追われている。」と言った。
優二は持っていたタオルを被せ三人で女を囲い隠した。男たちは優二たちの横を通り過ぎた。男たちが離れたのを確認すると女に「どういう事だ?」と問い詰めた。
女は「この“王家のヒスイを盗んだ”それで追われている。」とヒスイを見せた。
「それではあいつらに捕まると殺されるぞ。」
「ここに居たらまずい、とりあえずここを離れよう。」と言うと町を出て行った。
町を出てから川べりに着くと、
「ここまでくれば大丈夫だろう。」と四人は車座に座った。
そしてアナンが「名前と、盗んだわけは?」と問い詰めた。
女は「おいらの名前はカナ、おいらは母ちゃんと二人で暮らしていたが、その母ちゃんが一か月前に死んだ。おいらはどうしていいか分からず、葬儀もせずに木の下を掘ってそこに埋めるだけにした。
母ちゃんの供養をしたくて物乞いをしながら仕事を探したが見つからず、この町に近づいたとき盗賊の事を聞いた。
そして盗賊から“王家のヒスイを”を盗むことにした。盗賊もどこかから盗んだ物だからいいだろうと考え、それを盗んで金にしようと思った。」
「その金で生活するつもりだったのか?」
「ちがう、その金で葬儀を挙げ供物を供えようと考えた。上手く盗んだと思った時あいつらに見つかりあの町に逃げ込んだらお前たちに会った。」
「盗んだ金で葬儀を挙げて母親は喜ぶと思うか?」
「盗賊はどうせ酒と遊びにお金を使うだけだ、おいらが使った方がまだましだ。」
優二は「少しは同情する部分は有るが盗賊からであれ盗みは盗みだ、持ち主が見つかったら持ち主に返せよ。」
カナは黙っていた。テンジンが
「お前はこれからどうするつもりだ?」
「何も決めてない。」
優二「このまま放っておくのはかわいそうな気がする、連れて行かないか?」
アナンがカナに「どうする?」と訊くと
「別に一緒に行ってもいいぞ。」と言った。
「それではそうしよう」とテンジンが言った。
続けて「今日はもうすぐ夜になる今から動くのは危ないここで過ごそう。」
「そうだな・・」とみんな同意して食事をすることになった。食事が終わると、そのまま就寝することにした。
みんなが寝静まるとカナが起き出して優二のリュックに手を伸した。カナは誰も気づいてないと思ってリュックを持って逃げようとした時、優二が
「盗賊に捕まるなよ。」と声を掛けた。
カナは驚き、慌ててリュックを担ぎ走り出した。優二は目を閉じていた。
次の日アナンが
「お前のリュックが盗まれているぞ。」と言った。
「リュックはカナが持っていた。」
「盗んでいるのを見逃したのか?」
「そうだ、それにたいしたものは入ってない餞別代りだ。」
アナンはあきれて
「お前は変わっているな、人がいいというか、バカと言うか。」
優二は「世の中に、こんなバカも居なければつまらないぞ。」と言うと
アナンは「そうか・・・」と濁した。
三人は陽が昇ると沼に向かった。山を越えた所で何か気配を感じた。周りを見回すと原住民が囲んでいて何か言ってはいるが、何を言っているかは分からなかった。
その原住民の一人が優二の胸に槍を押し当て村に連れて行った。村に着くと村人が集まって来て周りを囲んだ。
そして奇声を上げ始めた。その時長老らしき人物が出てきて何か言っていた。テンジンが
「落ち着いて話し合おう。」と言ったが、長老は無視して何かの合図をしようとした。
その時村人をかき分けカナが長老の前に立ち動作を遮った。そして話し出した。優二たちは何を言っているかは分からなかっが、村人は静かになった。
話が付いたのかカナは持っていた“王家のヒスイ”を長老に渡すと村人たちは道を開けた。カナは戻ってくると話はついたと言い、ここを通っていい事になった。
アナンは「お前はリュックを盗んで逃げたのではないか!」と語気を強め言った。
カナは「逃げているうちに気が変わった。お前らの言う通り盗んだものでは母ちゃんは喜ばないと考えるようになった。だからお前らに謝ろうと後を付けていた。」と言うと、優二が
「話をつけたとはどういう事だ?」
「あの長老が “王家のヒスイ”の持ち主でヒスイを返すことによりこの村を通る事で話がついたという事だ。
図々しいかもしれないがもうあんなことはしない一緒に連れて行ってくれ。」
優二たちは話し合い、結果としてこの危機を切り抜け、リュックも戻ってきた。だから盗んだ事は不問にして一緒に行く事にして沼に向かった。
その時マヤが優二達を追いかけていた。
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