第3話迷いの森に入る
森に入ると木が光を遮り薄暗くなった。
優二「沼にはいつ着く?」
アナン「ここから二日くらいだ。」と言った。
そしてしばらく歩いていたがテンジンが
「何かおかしいな?」と呟くとアナンが叫んだ。
「これを見ろ!」
優二「どうした?」と近づいてきた。
アナンは幹を指し「ここに傷がある。」
「どういうことだ?」
「この傷は迷わないように俺が付けたものだ。俺たちは同じところを回っている。」
「同じところを回っているとは?」
「俺たちは迷いの森に入ってしまった。」
優二「迷いの森・・?」
「迷いの森に入ってしまうとそこから抜け出せず最後は死んでしまう。」
優二「何か抜け出す方法は無いの?」
「俺が知っている限り方法は無い。」
優二は少し動揺した。
テンジンが「落ち着こう何か方法があるはずだ。陽が沈む前に野宿できるところを探そう。」そう言うと歩き出した。しばらく歩くとスペースがある所に出た。
テンジンが「ここで野宿できそうだ。」と言いシートを広げ座った。
「まずは食べ物だ。」とアナンが言うとリュックから食べ物を取り出し食べ始めた。
暫く黙って食べていたが、テンジンが食べるのを止めて何か考えている事に気づいた。
アナン「テンジン何を考えている?」
「ある村人が言っていたことを思い出していた。その村人は “迷いの森に入ったら光の道に沿って進めそこに道が開ける”と。」
優二は「光の道・・・それに何かあるの?」
「光と言えば陽の光、または月の光が考えられるが・・・。」
「確かにそれ位だがその後の光の道に沿って進めとは。」
三人が考えていた時テンジンが
「明日は夏至だ。」
「それが何か関係が有るのか?」
「夏至の時、陽が昇ると一直線になると言っていた。そこに何かある気がする。」
その話で陽が昇る前に行ってみようと、意見がまとまり三人は横になり眠る事にした。
しかし優二は眠る事ができず、ウトウトしていたら。アナンが
「眠れないのか?」と声を掛けてきた。
「大丈夫、もう、寝る」と答え、アナンが
「明日は早い、早く寝ろ。」優二は黙っていた。
次の日夜が明ける前に三人は東に向けて歩いていた。しばらく行くと陽が昇り始めたので光が当たっている方に向かった。その光は洞窟の中を照らしていた。
テンジン「こんな所に洞窟が有ったのか・・」
アナン「中に入ろう。」と言って入って行った。
優二たちもそれに続くと光は洞窟の突き当りの壁を照らしていた。そこには何か文字が書かれていたが、何を書いているか分からなかった。
その時テンジンが「これは古代文字だ。」
「古代文字‥?何と書いてあるか分かるか?」
「古代文字は勉強したことがある。解読してみる。」
アナン「テンジンは博学だ、何と書いてあるか分かるだろう。」
テンジン「分かった。」
「何て書いてある?」
「“臆病を捨て先に進め、そこに道は開ける”と書いてある。」
優二「先へ進めとはどういう事だ?この洞窟はここで行き止まりだ。」
アナン「周りを見てみよう。」と言うと周りを見渡した。すると左に大きな岩石がありその後ろに人が一人通れる位の穴があった。
「ここから先へ行けそうだ。」
優二は「本当に大丈夫なのか?」
「ほかに道は無い。」と言うと穴に入って行った。
テンジンもその後に続いた。優二も穴に入って行った。狭い所を抜けると立つことができるスペースに出た。
二人を追って進んでいると、先に光が見えてきた。そのまま進んで洞窟を抜ける事ができた。抜けたそこは崖のセリで二人もそこに居た。
崖の下を覗くとそこは霧が掛かっていて下がどうなっているか分からなかった。三人はどうするか考えていた時
テンジンが「“臆病を捨てろ”と、はこの崖から飛び降りる事だ。」
優二は「バカな、それは危険だ。崖の下は霧が掛かっていて分からない。止めた方がいい。」と言ったが、
「その臆病を捨てなければならないのだよ!」と言ってテンジンが飛び降りた。
アナン「バカか、本当に飛び降りた。」と言ったが続いて飛び降りた。
優二は逡巡したが意を決し飛び降りた。すると霧の所はすぐに抜けて下は池になっていた。下から上を見たら10メートル位あった。泳いで岸に着くと二人はすでに岸に上がっていて優二を引き上げた。
テンジンは「な、上手くいっただろう。」と笑って、二人もつられて笑った。そして
「先に進もう。」と言って歩き出した。
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