第5話沼に向かい竜神と対峙する
沼へはあと一山超えれば、着く所まで来ていた。山はすぐに越えられて平地に出た。沼に近づくと雨が降り始めてそれは段々と強くなってきた。
沼に着くとテンジンが銃を取り出して優二に
「この銃で竜神の急所を撃て。」と銃を渡した。
「急所とは?」
「予言者が言うには。眉間だ、眉間を撃たなければ何の効果もない。そして銃弾は二発しかない。」
「もし外すと・・・」
「それは考えるな!上手く行く事だけをイメージしろ。」
「分かった、作戦は有るのか?」
「まず竜神をおびき寄せる、近づいたらよく狙って撃て。」
それを聞いたカナは
「おいらが囮になる。竜神はどこにいる?」
「沼に潜んでいる。だがお前では危険だ。後ろの木の陰に隠れていろ。」と言ったが、カナは無視して飛び込んだ。
そして溺れているふりをしたが何も変わらなかった。それを見ていたテンジンは
「もういいから岸に上がれ。」と言った時、沼の中心が盛り上がり、波が押し寄せてきた。
その波に押されてカナも岸に打ち上げられた。
波は優二たちも襲い三人とも流された。それと同時に竜神が現れた。優二は慌てて銃を撃とうとしたが銃も流されてしまっていた。
その時、竜神はテンジンに襲い掛かった。テンジンは【やられる】そう思った時、カナが竜神に体当たりしたが、竜神は何も変わらずカナは弾き飛ばされ木に引っ掛かり気を失ってしまった。
竜神はカナに気を取られてテンジンから目を離した。その隙にさやから剣を取り出し竜神に向かおうとした。そこへアナンが来て
「俺も戦う、俺は左から行くお前は右から行ってくれ!」と言い二手に分かれた。
テンジンは剣を立てて竜神に切り付けた。しかし剣は竜神に通用せず跳ね返された。それでもアナンは「今度は、俺は後ろから行く、お前は前から行ってくれ!」と言い後ろから切りつけたが剣が折れてしまった。
テンジンも何度も切り付けたが何も変わらず竜神は沼の上に留まっていた。二人はあっけにとられ竜神を見ていた。
そこへ優二が銃をもってやって来た。二人は優二に「慎重に狙えよ!」と叫んだ。それに対して優二は、
「任せておけ!」と言うと竜神に発砲した。その弾は竜神に当たり竜神は岸に倒れてきた。それを見た三人は “倒した”とほっとした。そして竜神に近づこうとした時、竜神は起き上がった。
竜神は何のダメージを受けていなかった。
優二は慌ててもう一発撃とうと銃を構えた。
アナンが「弾は最後だ!これを外したら手が無くなる。外すなよ。」
優二「分かっている、」と言い照準を定めて引き金を引こうとした時、雷が近くに落ちた。
その衝撃で引き金を引いてしまい、その弾は竜神に当たらずに外れてしまった。それを見たテンジンは
「これでは戦えない一旦離れよう!」と叫んだ。しかし優二は
「このまま帰るわけにはいかない、俺は戦う!」
「武器は無くなってしまった!どうやって戦うつもりだ?」
「まだここに剣がある。これで戦う!」
アナン「バカな事を言うな!剣では倒せないことが分かったではないか!」
それでも優二は動こうとしなかった。テンジンは優二を何とかしようとしたが優二は剣を握りしめ竜神に向かおうとした。
その時マヤが現れて
「優二これを竜神に食べさせて!」と何かの実を渡した。
優二は「どういう事だ?」と訊いたが
「説明は後、早く食べさせて!」
優二は何が何だか分からないが竜神の口めがけて実を投げて食べさせた。すると竜神は地面に落ち暴れ出した。
優二たちはそれを、固唾をのんで見ていたが、しばらくすると竜神は暴れるのを止めおとなしく沼に帰って行った。優二はマヤにどういうことか訊いた。
マヤは「竜神は “幻覚の実”を誰かに食べされていたの。それで暴れている事が分かり、それを鎮めるためには “覚醒の実”を食べさせればいい事が分かった。さっき食べさせたのがその“覚醒の実”なの。」
優二「そういう事か・・・、まあ竜神を鎮められたのだから良かったのかな。」
テンジンも「そうだな・・・。」
アナンが「カナはどうした?」と言うと木の上から「おろしてくれ!」と叫び声が聞こえた。
「大丈夫か?」と優二が訊くと、カナは木から降りてきた。
そして「もうやだ、帰る!」と言って歩き出そうとした。
優二が「どこに帰るつもりだ?」と訊くと、
「どこだっけ?」と考えた。
テンジンが「お城に帰ろう。」と言うとカナは
「そうそう、お城に帰ろう。」と言った。
そのやり取りを見ていたマヤは
「あの子は誰?」と訊いた。
アナン「あいつはこの旅の途中で一緒になったカナだ。」
テンジン「あいつは今仕事を探している、王様に頼んでくれないか?」
優二「その話はお城に着いてからした方がいいだろう。」と言うと
「そうだな。」と言いみんなはお城に向かった。
その途中でマヤにいきさつを説明した。
お城に着くとマヤはカナを雇ってもらえないか王様に尋ねた。王様は
「厨房で皿洗いの仕事があるからそれをしなさい。」言ったがカナは、
「厨房で働くならおいらは料理が得意だから“料理長”がいい。」と駄々をこねだした。
みんなは説得したが “料理長”がいいと譲らなかった。王様は「それでは料理長にするから厨房に行きなさい。そこに “総料理長”がいるからその人の指示に従いなさい。」と言った。
カナは「分かった。」と言うと厨房に行った。
優二「大丈夫ですか料理長にして・・・」と訊くと、王様は「厨房は“総料理長”と彼女だけだ。結局皿洗いをすることになるから大丈夫だ。」みんなは“なるほど”と少し笑った。
パート1終わり。パート2へ
別れた世界(パート1) 滝川れん @maekenn09
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