砂の星
ん?
ここは、
どこだろう?
私が目覚めると、
見渡す限り、砂だった。
どうやら、
私は砂に覆われた、
砂の星に転生したようだった。
私は、
その中の一粒の砂になっていた。
今度は砂か……と少し呆れたが、
魔女の星や薔薇の星よりは、
静かで穏やかに過ごせそうだった。
そうだ!
私が求めていたものは、
この静けさだったのかもしれなかった。
ときどき、
風が吹き抜けて、
砂漠に芸術的な風紋を作っていった。
そして、
また原初のような静けさが充満してくる。
魔女や薔薇に疲れ切っていた私にとって、
この砂の星はオアシスだった。
しかし、
砂に意識があるとは、
摩訶不思議だ。
ほかの砂たちも、
それぞれの思いに
私に接している砂たちは冷たく乾いていて、
とても心があるとは思えない。
しかし、それは、
私と接しているほかの砂たちも、
同様の思いなのだろう。
また、
風が吹き抜けて、
私はさらさら転がって、
風紋の一部の砂になった。
(こんなふうに、
文字通り、
風に吹かれるまま、
生きたいものだ)
私は心の底から、
そう願った。
それから、
何時間、何日、何か月が経ったのだろう。
私は相変わらず、
一粒の砂だった。
今まで心地良かったこの環境に、
それこそ一粒の砂のような違和感を感じ始めていた。
静かだ。
いや静かすぎて退屈だ。
これがマンネリズムというものだろうか。
このまま一粒の砂として、
生きていって、
果たして私は後悔しないのだろうか。
この死んでいるのに生きていて、
生きているのに死んでいる、
どっちつかず極まりない状態に、
だんだん嫌気が差してきた。
確かに、
魔女や薔薇のような、
うざったい存在はいないが、
一粒の砂のままでは、
私は自分の承認欲求が満たされないことを悟った。
砂とは悠々自適な存在でありながら、
ただのニヒリズムのかたまりでもあったのだ。
ああ、
このままだと、
退屈すぎて、
気が狂いそうだ。
ああ、
このままだと、
精神衛生上、
絶対に良くない。
そう判断した私は、
3度目の転生の魔法を、
心の中で唱えた。
(バビロ・ビロロン!)
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