第4話「式場の愛情」

「あー見つからない」

「自販機ありませんね」

「もしやここは日本ではないのか」

「なぜそうなるんですか」

「考えても見ろ、生きてるうちに地球は自転してる、この周期上に別国の次元が混ざってることだってあるかも知れないだろ」

「意味分かりません」

「簡単に言うとだな、地球が回ってるから、場所も違うってことではないか、」

「どういうことですか」

「例えば家を出たら、飛行機に乗った、この飛行機は自転速度より速い、だからたどり着けた、しかし、それより遅かったら、自転に追いつけず、進まないのではないか」

「なるほど、面白いような、当然のような問いですね」

「ま、ともかく、歩いたら、自転より遅れるから、それは日本と他の国がくっついて、道ができてしまうのではないか」

「なるほど、先生って、なんかとんでもないほど、なんかすごいです」

「だろ、私って、多分、天才だ」

「それは頭が追いついていないから何でしょうかね」

「いや、それは失礼なのか、それとも、無礼なのか、いいや、出遅れ頭と言ってるのか?」「ま、せんせ、ってなんか将来的に大きくなると思います」

「そうか、私も、粛々と生きてつもりが、いづれは万来を来するものになるのだな」

「ええ、でしょうね、先生ってオブラートでありながら、1オクターブ違うことを言うのでね」

「なるほど実に勉強になった、私はこのまま生きればいいのだな、さすばいづれ流行を超えた新風となるのだな」

「ええ、きっとそうでしょう、期待してます」

「ああ、預かり致す、その思い、成就させてみせる」

「冗談です」

「なな、おだてるだけが君ではないと知ってたが、しかして、高揚できた一瞬に、感謝はしよう、言葉に乗せられても、人を許す自在さが私にはあるからな」

「なるほど、では相乗りして、場を祝しましょうかね。」

「かどわかしてるだけだろ、まったく、私に似て秀でて妙だね」

「そうでしょうね、私は、常に言葉を中核において人を見ています、つまり先生の言動が私の素質を引き出すんです、これは何よりの回訓になります」

「そうかそうして大きくなってどこを目指すつもりだ?」

「そうですね、天下統一とまでは行きませんが、しかしてあなたの元でこうして、絶え間ない言葉を交わすこと、それだけで天にも昇る気持ちであれるでしょう、だからもうとっくに愛してるんです、とっくに好きなんです、とっくに満ち足りてるんです」

「そうか、ならばもっと上を目指そう」

「どういうことですか」

「はは、君は私が好きなんだろ、だったらまだまだ私は育つぞ、だから天下だって夢じゃない、そうだな、ここは一つ、好きについてもっと学ぼうではないか。それこそ最大の人生かも知れんぞ、愛は愛でいつもきまぐれであり、悩み深いからな。だからまだまだ世界は広いぞ、もっと来いよ、な。白瀬」

「ええ、では遠慮なく、愛についてご鞭撻申し上げます、励ませていただきます」

「ああ、それでこそ、私の見込んだ君だ、」

「ええ。ありがとうございます」

「では、行くぞ白瀬、愛の名のつくすべてを網羅する旅へ」

「そうですね行きましょう」

「ああ、」

「ええ」

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