ここから始まる後日談
「私はずっとリリアーテの幸せを願っておりました。
私が悪役になる事でリリアーテが幸せの道を進めると思うのであればそうしようと。
そうして、あなたの礎となって断罪され、修道院で余生を過ごそう……そう考えていたのです」
「アンヌマリー様、それは……」
「ええ、貴女と全く同じ考えだったのですね。
そして、私のために修道院に入る程の覚悟を愛と呼ぶのであれば、きっと私のこの感情も愛と呼べるものなのでしょう」
全てを注いでも後悔は無いという推し活の一環ではあったのだが、これも一つの愛には違いないだろう。
そう気づいた時、私の口からはスラスラと言葉が紡がれていた。
「アンヌマリー様、それでは!!」
「ええ、私の方からお願いさせてください。
リリアーテ、私の妻として共に人生を過ごしてくださるかしら?」
「もち……もちろんです。
喜んでアンヌマリー様に嫁がせて頂きます」
そう言って私の手を離さないまま、ボロボロと泣き始める。
「あらあら、そんなに泣いてしまって。
折角の可愛い顔が台無しよ」
「だって……本当に子供の頃からお慕いしていて。
嬉しすぎるのもそうだし、あまりにも幸せすぎて現実感もないし」
「それは困ったわね。
なら、これで現実だと分かるのではないかしら」
「え……!?」
私はリリアーテの手から離れると、ボロボロと泣き続ける彼女の頬に両手を添えた。
そして、そのまま自分の顔を近づけて口付けを交わしたのであった。
その途端に広間は割れんばかりの拍手と歓声に包まれていた。
最も近い場所からはすぐ側、恐らくはお父様が祝福してくれているのが分かる。
こうして元悪役令嬢である私……アンヌマリーと、聖書リリアーテは結ばれ、生涯を仲睦まじく幸せに暮らしましたとさ、めでたしめでたし。
……で、終われれば本当に良かったんだけどね。
貴族社会、これからやる事は山積みなわけで、もう少しだけ私達の話に付き合ってもらうわよ。
この悪役令嬢の後日談にね!
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