第一章 エルフと霊獣の森編

第1話 婚活パーティ申請


冒険者ギルド。

そこは数多の冒険者が金と名誉を追い求める者が集まる。主におっさんが。

男女8:2の魔の巣窟である。


扉を開けると、広いエントランスの中央には一人の男性が書類を仕分けながら扉を開けた音に気づいたのか視線だけをこちらに向けた。



「よっ!バンデスのおっさん!パーティの募集をさせてもらいたい」



バンデス=グラッド。

42歳の男性。元上級冒険者らしく、顔やシャツから覗く腕には数多の古傷が見受けられた。

そして、既婚者である。

憎き既婚者である。



「おー、ようやく復帰か。一ヶ月ぶりだな、もういいのか?」



「おうよ!屋敷の維持費もバカにならんし。アルメリアにも働けって怒られたしな!パーティの申請用紙ちょーだい」



わははっと笑うと、呆れた様子でパーティの応募申請用紙を渡される。



「メイドに怒られるなってお前……。まあいいわ。最近、魔族の残党の報告もあるし、お前さんの復帰は正直ありがたいわ」



「あーね」



残党とか知らんわ。

俺は経験値より美少女とクソ雑魚ダンジョンで好感度稼いで結婚したいんだわ。

とは、口には出さずにさらさらと応募申請用紙に記入してバンデスに渡す。



「……お前どういうつもりだこれは?」



「なにが?」



【募集要項】

20歳前後の女子限定(3〜4名)

職業問わず

彼氏有・既婚者・離婚歴ある方はNG

亜人族大・大・大歓迎

面接要


なんだこれは、お前こんなの受理されると思ってるのか?」



わなわなと用紙を見つめるバンデス。

あ、やべなんかキレてる。



「バンデスのおっさん。あんたは勘違いしてる。俺は決して邪な気持ちでこの募集をしたわけではないんだ。

よく考えて見ろ。冒険者は死にやすい。

特に女の子は体力が少ないから男性よりも死ぬ確率が高いだろ?

それに相手がいる女性はダンジョン攻略ってよりはのんびりクエストをこなしたいみたいな娘が多いからな。これは最初から弾きたい。


つまり、俺が女の子の生存率を上げて能力を底上げすることができるってわけだ!名案だろ?



俺がそういうと、むむむっと考えている。もうひと押し。



「それに、エアトリア王国は亜人受け入れをしているものの亜人差別は未だ根深い問題だろ?


だから、ここは勇者の俺が亜人を受け入れて、共に活躍することで偏見を薄めることができるはずだ!」



「お前、そこまで考えて……っ!流石、引退したとはいえ勇者というわけだな。承知した!俺からも宣伝しておく!任せろ!」



こうして、俺のパーティ応募申請は正式に認められ、専用のボードパネルの目立つ場所にバッチリ掲示された。


あははっ、バンデスちょろいおっさんです。

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