第23話いびつな家族1
昨日は、よく寝れた。目を瞑った瞬間に朝になったと思えるくらいの熟睡をした。こんなに気持ちよく寝たのは初めてだ。これは死の心配もなく安心して暮らせる場所ができた、おかげなのだろう。龍二と誠二さんに感謝しなくて。カーテンをと開けて、外の光を入れる。眩しくて目を細めることが少し心地よく思った。
ところで今は、何時なのだろうか。時間を見るためにスマートホンを探す。だが身の回りのどこを見てもスマートホンの姿はない。ポケットに手を当てると、スマートホンが入れっぱなしになっていた。
えっと時間は、午前8時17分か。もっと寝てしまってるものだと思っていたけど、案外早めに起きたな。
それよりも、体がものすごく臭い、尋常じゃないほどに臭い。昨日は色々あって、体臭のことを全く気にしていなかったせいで、今まで全く気づかなかった。もしかしたら昨日結構迷惑かけたかもしれないな。とりあえずシャワー借りるか。
すぐに部屋を出て、階段を急足で降りてリビングへ向かった。リビングを見ると電気がすでに付いていたおり、中に入ると誠二さんが誰かに電話をしていた。
「はい失礼します。誠に申し訳ありませんでした。」
誠二さんは電話を机に置いき、崩れ落ちるよう椅子に座った。横から見ても目がすごい晴れているのがよくわかる。昨日あんなに泣いてたからな。俺に部屋を教えた後もずっと泣いてたんだう。リビングのドアを開け、部屋の中に入る。
「おはようございます。誠二さん。」
俺が挨拶をすると、誠二さんはすぐにこちらを見た。正面から見たら目の腫れとクマですごいことになってるな。
「おはよう、蒼梧くん昨日はよく眠れたかい。」
誠二さんは腫れた目を細めて、ニコッと笑顔を見せた。昨日は、あんなに辛い思いをしたはずなのに。なんでこの人は、ここまで明るく接してくれるのだろうか。
「はい、誠二さんと別れた後すぐに寝ちゃいました。」
俺が、少し明るめで答えると。誠二さんは少し幸せそうな表情をした。
「それは、何よりだよ。この後、ちょっと家族の紹介をしたいんだけどいいかな?」
家族の紹介か、これからこの屋根の下で一緒に生活を送る仲なのだから互いをしっかりと自分たちのことを知っておかなければならないしな。
あと自己紹介の時こんな臭い体だったら失礼だな、シャワーを借りてちゃんとした身だしなみにしよう。
「はい、是非よろしくお願いします。あのー、シャワーを借りてもよろしいでしょうか。」
そういうと、誠二さんはやってしまったというような表情をした。
「ごめん、そういえば昨日はシャワーも浴びてなかったもんね。お風呂場は、リビングを出てから右に行って真正面の部屋だよ。あとシャンプーとかは、どれを使ってもいいよ。」
俺に、手でジェスチャーをしながら経路を教えてくれた。
「ありがとうございます。」
すぐにリビングを出た瞬間に右方向に体を切り替えして。早足で風呂場に向かう。ドアを開け脱衣所の中に入った。脱衣所の中は洗面台と洗濯機、その横に服などを置くような棚があり、ご丁寧にその棚の上にバスタオルやタオルが何枚か置いてあった。
着ていた衣服を脱いで折り畳み、棚の上に置いた。風呂場の中に入った。蛇口をキュキュと回し、シャワーから水を出して。頭にお湯をかける。両手でわしゃわしゃ洗うと、天パでもないのに髪に指が通るごとにギシギシと音が鳴っているのがわかる。汗で髪もすごい傷んでたんだな。リンスも借りよ。
シャンプー置き場のようなところから、リンスを出し、髪の毛一本一本に優しく馴染ませていく。そしてシャンプーをだして、リンスを馴染ませた髪の毛にゴシゴシ洗っていく。よしこれで結構髪の毛最初よりも結構ましになったな、あとは髪質が治るまで根気強くやっていこう。
そして最後の問題はこの体臭だ、自分でもわかるくらいに臭い。ボディソープを出して、持ってきたタオルを水につけて、そのタオルにボディソープを馴染ませ。そのタオルでゴシゴシ洗う。まじで今最高の気分だ。
「あの、どなたですか!!」
びっくりすた急になんだ、洗い終えた体のシャンプーを急いで流して風呂場のドアを開る。
「し、知らない男の人が、風呂場でなにしてるんですか。」
この女の子、俺と同い年くらいだろうか。これから同居人になる、じゃなくて。今はこの子の誤解をとかなくてわ。
「あの。」
「お、お母さん助けってー、家にやばい奴がいる!!」
これはマズイぞ、とりあえず、服を着なければ。髪と体を適当に拭いて、全力のスピードで服を全て着た。
「どうしたんだ、蒼梧くん。」
誠二さーん、助かったこれで誤解をとくことができる。
「すいません、娘さんが俺がシャワー浴びてる時に入ってきちゃって。あの子多分俺のこと、勝手に人の家に入って風呂に入った変質者と勘違いしてると思います。」
俺が焦りながら質問すると、落ち着いた態度でうんうんと頷きながら話を聞いてくれた。
「それじゃ私に任せてくれ。君はとりあえずその濡れた髪の毛をちゃんと拭きなさい。風邪をひくよ。」
この人聖人はなんじゃないだろうか。こんなにしっかりとした優しい大人は、初めて見た。
「わかりました、よろしくお願いします。」
頭を深々と下げて礼をし、顔を上げると。誠二さんはニコッと微笑み、脱衣所から出て行った。
誠二さんに、言われた通り。髪の毛を丁寧に拭き、ある程度の水気が取れるまで拭き取り。洗面台にかけられてあった、ドライヤーで乾かした。拭いたタオルを空の洗濯機に入れ、ドライヤーを元の場所に戻した。
脱衣所を後にし、早足でリビングに戻り。昨日座った椅子に座った。
待っていると、なにを言っているかはわからないが。騒がしい声が聞こえてくる。誠二さんがなんとか説明してくれているのだろうか。
程なくしてから上の方から、ドンドンと階段が降りる音が聞こえてきた。ガチャっとドアが開き、少しむすっとした顔で、さっき居合せた女の子が入ってきた。すぐにさっきのことを謝ろう。
「さっきはごめん。」
俺が立ち上がり、体を向け、頭を下げて謝ると。大きくため息をついた音が聞こえた。
「別にいいわよ。そんなことより、そこ私の席だからどいてくれる。」
少女にそう言われ、早々と立ち隣は流石に申し訳ないので、正面の席に座った。
「ちょっと。」
機嫌が悪そうに、少女が問いかけてくる。
「はい、なんですか。」
なんなんだろう、なにかこの子に不味いことしただろうか。
「正面とかやめてよ、ほんと。」
え、、言葉を飲み込むのに少し時間がかかってしまった。それじゃ隣に行けばいいのだろうか。すぐに立ち上がり、少女の隣に向かおうとする。
「隣とかも来ないでな。」
は?この子まじで言ってるのか、流石にこの扱いわないでしょ。
「じゃ、俺はどこに座ればいいんですか。」
少しキレ気味で、聴くと。少しあきれたような表情でこちらのことを見てくる。
「そこら辺にでも立ってればいいじゃない。」
あ、やばい危うく感情的に怒ってしまうところだった。ここは少し大人の対応をしよう、この席から立ち上がっているところを、誠二さんに見てもらって怒ってもらおう。椅子から立ち上がり、ドアからすぐに見える場所に立った。
「なにしてるんだい、蒼梧くん。」
誠二さん、よしこの人ならガツンと言ってくれるはずだ。
「この人に立ってて言ったら、勝手にやっただけだよ。」
やばいこの子にすごい腹立ってきた。好きで立つわけないだろほんと。
「はぁ、勝手にやったて。いって良いこととかちゃんと考えなさい。」
誠二さんが怒ったトーンで言っても、この子に反省してる様子が全く見れない。この子ほんとに大丈夫なのか。
「わかりました。」
少しだるそうに、返答をし足を組んで携帯を出した。
誠二さんをみると少しあきれた表情をしていた。この人でもこんな顔するのか。
「蒼梧くんこっちに座って。」
誠二さんは、少女の正面に座り。隣へこいと手で招いた。
「お待たせ。」
昨日の玄関の、この人はこの人ですごい眠たそうだな。女性は少女の隣に座り、俺と真正面の場所に座った。
「みんな、そろったね。今日集まってもらったのは、今日から新しくここに住む人が来ました。さぁ自己紹介して。」
誠二さんが、俺の方をポンと肩を叩いてきた。
「蒼梧って言いますよろしくお願いします。
女性が少し、不機嫌そうな表情を浮かべた。なぜかこの人を怖いと思った。
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