北見峠「幽霊列車」
北見峠は、昔から交通の要所であり、多くの旅人がこの道を通り抜けてきました。しかし、ある大正時代の冬のこと、恐ろしい事故が起こりました。
その夜は雪が激しく降り積もり、峠は完全に白い世界に変わっていました。一台の貨物列車が峠を越えようとしていましたが、積雪と吹雪のため、進行が困難でした。列車は途中で立ち往生し、乗組員たちは助けを待つしかありませんでした。
しかし、その夜中に、誰もが目を疑う光景が現れました。雪の中から、一台の古い蒸気機関車が現れ、無人の列車は峠を上っていったのです。乗組員たちは最初は救助の列車かと思いましたが、その列車は何かが違いました。列車から聞こえるのは、悲痛な叫び声や、鉄の軋む音、そして、何よりも列車全体が青白い光に覆われていたのです。
翌朝、救助隊が到着した時、立ち往生していた貨物列車は見つかりましたが、乗組員たちは行方不明でした。そして、その近くにある峠の崖下には、恐ろしい光景が広がっていました。古い蒸気機関車が大破し、周囲には血痕が散らばっていました。
この事故後、峠を越える者は、北見峠で「幽霊列車」を目撃することが増えました。特に、雪が深く降る夜には、その幽霊列車が峠を上っていく姿が見えると言われています。列車からは、事故当時の人々の叫び声や、機関車の音が聞こえ、近づくと何者かに引きずり込まれるかのような恐怖を感じる人もいました。
地元の人々は、この列車が当時の乗組員たちの幽霊が乗るものだと信じています。その夜の事故で命を落とした彼らは、永遠に峠を越えようとしているのです。彼らが見つけたいのは救助ではなく、自分たちが生前見つけられなかった道でもあるかのようでした。
北見峠を夜に通る者は、この幽霊列車の話を知り、決して峠で立ち止まらないようにしています。峠の恐ろしさは、自然の厳しさだけでなく、その歴史と結びつく怪談によって一層深まっているのです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます