ニセコ「マシューの災難」

ニセコの美しいパウダースノーは、世界中のスキーヤーやスノーボーダーを引き寄せます。ある冬、ニューヨークから来た若者、マシューとその友人のジムは、ニセコのスキー場で最高のスキーを楽しむため、訪れました。


マシューは特に冒険好きで、地元の人々が「危険」と言う未踏の斜面に挑戦することが日課でした。ある日、彼らは地元のガイドから「絶対に行くな」と警告された、深い森の中の斜面に興味を惹かれました。その斜面は、昔、雪崩で何人もの命を奪った場所だと言われていました。


しかし、マシューはその警告を無視し、ジムを誘ってその斜面に挑戦しました。スキーを楽しんでいる間、彼らは突然、森の中から聞こえる不気味なささやき声に気付きました。その声は、まるで彼らを非難するかのような、悲しい響きでした。


マシューはその声を気にせず、さらに先へ進みました。すると、突然、風が強まり、雪が舞い上がり、視界が悪化しました。そして、予期せぬ雪崩が彼らを襲いました。ジムはかろうじて脱出し、助けを求めましたが、マシューは雪に埋もれてしまいました。


ジムが救助隊と共に戻ってきた時、マシューの姿は見つかりませんでした。ただ、彼のスキーや帽子だけが雪の中から見つかったのです。救助隊は捜索を続けましたが、マシューの体は発見されず、彼は「行方不明」として処理されました。


しかし、それ以降、ジムは毎晩、夢の中でマシューが助けを求める声を聞き、ニセコの雪景色の中で迷子になる夢を見るようになりました。さらに、ジムはニセコに戻ると、森の中から聞こえるあのささやき声を再び聞くようになりました。


地元の人々から話を聞くと、かつてその斜面では、雪崩で亡くなった人々の魂がまださまよっていると言われていました。彼らはその斜面を冒涜した者に祟りをかけると信じられており、マシューがその祟りを受けた最初の外国人だと噂されました。


ジムはその後、ニセコに来るたびに、何かが彼を監視しているような感覚を覚え、最終的にはニセコに近づくことさえできないようになりました。そして、ニセコのスキー場では、今でもあの斜面に近づく者には、「マシューのように祟られるぞ」と警告がなされるのです。

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